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生徒指導のための教育実践
2002/12/16 第9回
☆今週は配布資料を読んだ感じなので資料を参考にしてください。
子どもの命にふれる教育実践
<<事例1>>ある死刑囚のこと 島秋人さん(昭和42年11月2日死刑囚として処刑)
死刑囚が獄中で美術の先生に手紙を出す。すると手紙の中に、短歌が書き添えられていた。それを読み、歌心が刺激され、
次々に歌が生まれ始める。島さんの短歌を歌集にし、出版しようという運動がおこりはじめたが、島さんは、被害者の遺族
の心情を思いやって、私が処刑されてからにしてほしいと頼んだという。死刑囚島さんも、こんな尊い心を持っていたので
ある。こんな歌が生まれてくるような可能性も、いのちの底には潜んでいたのである。実際、先生や両親など周りの人が、
島さんの尊いものを見てやってくれたら、死刑囚にならずにいい人生を過ごす人になったかもしれないのである。・・・
★この事例からわかること★
・教師は子どもの表面だけでなく、そのもうひとつ向こうにある子どもの値打ち・光に触れないでは、
その子をどうしてやることもできないのでは。
・人間は生まれたとき約5千通りの可能性をもっている。その可能性の中から、キラリと光るすばらしい
可能性を見いだし、それをしっかり育て上げるのが教育。
<<事例2>>小学3年M君の場合
M君は掃除はしない、勉強している友達にちょっかいを出すなどの問題児だった
先生「明日から勉強する教室、今日は力いっぱいきれいにしておこうや」
M君「先生、それじゃ、雑巾貸して」
先生「きみ、掃除する気持があるのかい。偉いぞ」と励まし、すぐにそのことを手紙に書いてM君のお母さんに報告。
M母:感激し、早速雑巾を縫って持たせた
M君:その雑巾を先生に見せに来た。開いた雑巾には「がんばれ、しっかり、しっかり」と太い刺しゅうがしてあった。
先生「これは、すばらしい。この雑巾校長先生に見てもらって来い」
校長「きみ、こんな雑巾、何万円出しても買えないぞ、こんな雑巾縫ってくださるお母さん、世界中探してもおらんぞ。
世界一のお母さんをもっているんだkら、世界一のいい子になれよ」と励ましM君を写真に撮って持たせた。
<<事例3>>山根先生の実践から〜はじめて3年生を担任したT君〜
T君は、生まれてまもなく両親が離婚。他人の家に預けられて育った。母の胸に抱かれて乳をもらった事もない、その
イライラがまわり中に反抗になって現れる。皆から嫌われ、憎まれ、ますますイライラが生じ、仲間からも先生方から
も嫌われ困られていた。
ある月曜日の朝、教室に入っていくと、テレビのボリュームをいっぱいにあげて大騒ぎしていた。一人一人指名して、
厳しく問いただし、最後にT君を追求した。何も言わないT君。「それでは、T君に代わって先生が言う。皆は、月
曜日になると機能はお父さんとどこへ行ってきたとか、いいもの買ってもらったとかベラベラしゃべっている。それ
をお父さんのいないT君がどんな気持ちで聞いているか考えたことがあるのか。先生がT君だったら、もう学校なん
か来るものかと思うに違いない。でもT君は学校に来ている。しかしT君、皆をいじめて胸がスッとするか、ますま
すイライラするはずだ。君にとって、ぐっと我慢するそれが一番大事なことだ。皆をいじめるのが強いのではない。
がまんするのを強いというのだ。強い人間になれ。」とT君に言い始めた。そのとき、子ども達の間から「今までT
君がぼくらをいじめていると思っていたが、本当はぼくらがT君をいじめていたようだ」というつぶやきが沸き起こ
り始めた。そういう雰囲気の中で、T君が泣きながら叫んだという。「みんな、ぼくのことをそんなのいってくれて
ありがとう。ぼくもいい子になりたいです。」と。
三年生の子ども達が、山根先生という教師にめぐりあって「T君が僕らをいじめていると思っていたら、本当は、
僕らがT君をいじめていたんだ」と目覚めることができたことを、私は喜んだ。BY 東井義雄