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ガイダンス

【2001.04.12 2限 第1回】
0.アプリケーション総論の進め方
基本的な流れは受講している学生が毎回発表するという形式。
テーマと発表者
テーマ
発表内容
演習発表
課題発表
1.時系列・回帰分析と需要予測 配布資料3-1-1,3-1-2 演習1 課題1
配布資料3-1-3,3-2-1 演習2 課題2
2.在庫管理 配布資料4-1,4-2 演習1 課題1
配布資料4-3〜4-5 演習2 課題2
3.線形計画法 配布資料5-1〜5-5 演習1 課題1
4.待ち行列とシミュレーション 配布資料7-1〜7-3
7-4,7-5
演習1 課題1
6.決定理論 配布資料8-1〜8-3 演習1 課題1

発表内容と提出物
  1. 与えられた「テーマの内容」、「演習」、「課題」をプリントと他の文献を参考にしてまとめ、その内容を発表する。
  2. 発表はPowerPointで行い、発表者は縮小版資料を提出すること。
  3. 発表者が欠席した場合は次の予定者が発表者となるので、発表できるように準備しておくこと。
  4. 演習と課題は全員レポートにまとめて提出する。提出日はその章が終了する時点とする。
  5. レポートには参考文献を記載すること。ただし、Webページからの直接的な複写は不可。
  6. 成績は、試験、出席、レポート、発表内容で評価する。


1.経営科学の必要性
経営科学・・・現代の企業経営に要求されている情報処理のための統計的及び数学的方法の体系。

経営科学が経営上の決定のために用いられている例:

例1)
 あるメーカーが、その製品の需要増加を見込んで向上を拡張しようとしている。ではどれだけの規模にまで拡張したらよいか。
 −−→過去の統計データの時系列分析回帰分析を行って将来の予測値を求めるという方法が用いられる。これが需要予測の仕事である。

例2)
 ある衣料品店で、季節ものの下着をどれくらい仕入れようかと考えている。少ないと品切れを起こすし、多いと売れ残りが出てしまう。どのぐらい仕入れたらよいのか?
 −−→不確実な将来の需要に備えて、あらかじめどれだけの量の商品をストックしておくかというような問題が在庫管理の問題であり、このような問題を経営科学の在庫モデルが扱う。

例3)
 ある靴店で、ビジネスシューズの仕入れをどうするか考えている。ビジネスシューズの需要は、年間を通してほぼ一定であり、その総量もわかっている。しかし、一度に多く仕入れると、それだけ維持費がかかるし、少なく仕入れると手数がかかったり、仕入れ単価が高くなったりする。一度にどのくらいの量を発注したらよいのか?
 −−→最もよい発注量のことを最適発注量といい、この最適発注量を決めることはu>在庫管理の1つの問題である。

例4)
 ある電気店ではエアコンと扇風機の仕入れを検討している。それぞれ十分に売れる見通しがあり、出来るだけたくさん仕入れたいのだが、陳列スペースや予算に限りがある。全体として利益を出来るだけ大きくするにはどう仕入れればよいか?
 −−→色々な制約の元で利益を最大にするというような意志決定の問題を数理計画問題といい、そのために用いられる分析に線形計画法がある。

例5)
 ある建築業者が住宅の建築を請け負っている。建築工事には様々な職人の仕事があり、しかもそれらの職人の仕事の間には、前後関係などいろいろと込み入った関係がある。ちゃんと計画を立てて仕事が遅れないようにするにはどうすればよいか?
 −−→このような場合にはパート(PERT)と呼ばれる方法を用いる事が出来る。

例6)
 あるスーパーマーケットが、新店舗を出店しようと計画している。そこで、レジスターを何台設置すべきかが問題となっている。少なすぎるとお客に迷惑がかかるし、多すぎると設備費用やスペースが負担になる。どうすればよいか?
 −−→来店客の時間的分布や所用時間がわかっているので、レジスターを何台か設置したときの待ち行列の状況を、待ち行列の理論で考え、コンピュータによるシミュレーションで分析してみることができる。

例7)
 ある企業では、来期の生産量を当期並にするか、増産するか、それとも減産するか決定しようとしている。しかし、来期の経済状況は不確かである。どうすればよいか?
 −−→将来の不確定性に直面する意志決定の原理を取り扱うのが決定理論である。


○問題
日本軍と連合国軍はそれぞれ、どちらを通過する作戦をとるか。
 第2時世界大戦中の1943年のある日、日本軍は輸送船16隻をニューブリテン島のラバウル港からニューギニア島のラエ港に移動させる計画をしていた。
 問題は、ニューブリテン島の北側をまわるか、南側をまわるかを決定することであった。
 どちら側をまわっても3日間かかるが、日本ぐんんとしては敵の爆撃を受けても最小限の被害ですませたかったからである。
 当時の天気予報は北は大雨、南は快晴であった。
 連合国軍の空軍司令部では、日本軍の移動計画を知り、移動中の輸送船に最大の損失を与えようと作戦を練った。

 連合国軍は偵察機とすぐに出撃できる爆撃機を持っていた。
 連合空軍司令部は次のように分析した。
  1. 北は大雨で司会が悪いから偵察機をたくさん配備し、南は快晴で見通しが良いから少し配備しよう。
    このとき、日本軍輸送船が北側を通過するなら、視界が悪くても偵察機の数が多いので、すぐ発見でき2日間の爆撃ができる。
    しかし、南側を通過されると快晴であっても偵察機の数が少ないので発見が遅れやはり2日間しか爆撃出来ない。
  2. もし、偵察機の数を北方を少なく、南方を多くしたときに、
    輸送船が北側を通過すれば、大雨で視界がきかないし、偵察機の数も少ないので発見がかなり遅れ1日しか爆撃出来ないが
    南側を通過してくれれば見通しが良く、そして偵察機の数も多いので、たちまち発見し3日間の爆撃が行え、輸送船を撃破粉砕出来る。

この条件下で、日本軍、連合国軍はそれぞれどちらを通過する作戦を取るか。その考えに至った根拠も書け。
日本軍=
連合国軍=
その理由



○解説
わかりやすくまとめるために下のような表を作る。
 
連合国軍
北側 南側


北側 2日間 1日間
南側 2日間 3日間
この時、日本軍が南側を選ぶと、連合国軍がどちらに配置していたとしても最低2日間の爆撃を受ける。逆に北側だと、うまくいけば1日しか爆撃を受けないこともある。
また、連合国軍の側から見ると、南側に配置した場合、せん滅出来る可能性もあるが、確実性が少ない。ここは確実に2日間爆撃出来る北側だろう。

今回の問題を出した理由。これらの考え方を人間ならぱっと出てくるが、コンピュータだと果たしてそうだろうか?というところで課題。今回の事を判断するプログラムを作成せよ。


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