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時系列・回帰分析と需要予測1
【2001.04.19 2限 第2回】
1.時系列分析
発表者:山田
○需要の時間的変動・・・傾向変動、循環変動・季節変動の3つから成り立つ
- 傾向変動・・・かなり長期間にわたって、一定方向に持続的な変化をするもの
- 循環変動・・・数年間の期間で繰り返す上下の変動。典型的なものとして、景気の善し悪しによって数年ごとに繰り返される景気変動などがある
- 季節変動・・・循環変動と同じく上下の変動であるが、1年という定まった周期を持つ変動であって、四季の変化や商習慣などによって起こるもの
○傾向変動の分析
傾向線・・・統計数字を表す点、またはその近くを通って変動の基本的傾向を示すと考えられるような線。傾向線を求める方法には、目測法・移動平均法・最小二乗法などがある
(1)目測法
目測法・・・グラフの点を見て、目分量で全体の傾向を表すと思われる簡単な線を書く方法で、傾向線を求める最も簡便な方法
(2)移動平均法
移動平均法・・・与えられた時系列の各項について、その項を中心とする前後一定期間の河野平均値を計算し、その平均値を連結して傾向線を示す方法
計算方法
例)
年次 |
売上高(百万円) |
移動平均値 |
1977年 |
104 |
− |
1978 |
124 |
− |
1979 |
146 |
140.6 |
1980 |
152 |
159.0 |
1981 |
177 |
182.2 |
1982 |
196 |
213.8 |
1983 |
240 |
253.8 |
1984 |
304 |
293.6 |
1985 |
352 |
− |
1986 |
376 |
− |
- 最初の5カ年の売上高の算術平均を計算する
(104+124+146+152+177)÷5=140.6(百万円)
この値を5カ年の中央、1979年の移動平均値とする
- 次に1年ずらして、1978年から5カ年の売上高の算術平均を計算する
(124+146+152+177+196)÷5=159.0(百万円)
この値を1980年の移動平均値とする
- 以下同様に、1年ずつずらして5カ年の売上高の算術平均を計算しそれぞれの5カ年の中央の年次の移動平均値とする
これらの移動平均値をグラフ上に取り、線で結べば傾向線が得られる
(3)最小二乗法
最小二乗法・・・傾向値との差が全体として最も小さくなるような直線を求めるもの
計算方法
傾向変動が直線で表されるので傾向線の式は
Y't=a+bt(a,bは定数)
で表される。これは傾向値が毎年一定値bだけ増えることを表している。
傾向値の差が全体として最も小さくなるような直線を求めるので、YとY'の差の2乗の合計が最小になるようにaとbを決定すればよい。すなわち
Σ(yt-Y't)^2=Σ[Yt-(a+bt)]^2
がもっとも小さくなるように、aとbを求めるのである。この式を偏微分して以下の2つの式を求める。
Na+(Σt)b=ΣYt
(Σt)a+(Σt^2)b=ΣtYt
この2つの式を正規方程式という。
なお、ここでいうNはデータの数、Σtは1からNまでの整数の合計である。また、ΣYtはYのデータ値の合計であり、Σt^2は1からNまでの整数の2乗の合計である。ΣtYtはtとYtの積の合計を表す。
例)
年次 |
t |
売上高(Yt) |
t^2 |
tYt |
1977年 |
1 |
104 |
1 |
104 |
1978 |
2 |
124 |
4 |
248 |
1979 |
3 |
146 |
9 |
438 |
1980 |
4 |
152 |
16 |
608 |
1981 |
5 |
177 |
25 |
885 |
1982 |
6 |
196 |
36 |
1176 |
1983 |
7 |
240 |
49 |
1680 |
1984 |
8 |
304 |
64 |
2432 |
1985 |
9 |
352 |
81 |
3168 |
1986 |
10 |
376 |
100 |
3760 |
合計 |
55 |
2171 |
385 |
14499 |
データの数N=10であり、表からΣt=55,ΣYt=2171,Σt^2=385,ΣtYt=14499であるので、正規方程式は
10a+55b=2171
55a+385b=14499
となる。この連立方程式を解くとaとbの値が求まり、それによって直線傾向線を求めることが出来る。
2.回帰と相関の分析、他
発表者:梅原
○循環変動
循環変動の表し方・・・時系列の変化から傾向変動と季節変動を取り除くことによって循環変動が得られる。
○季節変動
季節変動の表し方・・・季節変動は、1年を周期とする変動であるから、月あるいは四半期ごとなどに観察された時系列の場合に問題となる。季節変動の分析は、移動平均法がよく用いられる。
回帰と相関の分析
回帰関係・・・例えば、店の売上高は、売り場面積によって影響されると言ったような関係。
回帰分析・・・回帰関係を統計的に分析する方法
計算方法
データの関係を最も良く表す直線の式は
y=a+bx
で表される。この直線を回帰直線と呼ぶ。
また、データ間の関係を最もよく表す直線的関係は、前に述べた最小二乗法の考え方に従って
Σ[yi-(a+bxi)]^2
がもっとも小さくなるように、aとbを求めることである。この式を偏微分して以下の2つの式を求める。
Na+(Σx)b=Σy
(Σx)a+(Σx^2)b=Σxy
この2つの式を、前と同様に正規方程式という。
例)
店名 |
売り場面積 |
年売上高 |
x^2 |
xy |
y^2 |
A |
7 |
9 |
49 |
63 |
81 |
B |
9 |
14 |
81 |
126 |
196 |
C |
9 |
13 |
81 |
117 |
169 |
D |
12 |
18 |
144 |
216 |
324 |
E |
15 |
22 |
225 |
330 |
484 |
F |
11 |
18 |
121 |
198 |
324 |
G |
14 |
19 |
196 |
266 |
361 |
H |
11 |
19 |
121 |
209 |
361 |
I |
15 |
21 |
225 |
315 |
441 |
J |
12 |
16 |
144 |
192 |
256 |
計 |
115 |
169 |
1387 |
2032 |
2997 |
データの個数n=10であり、表からΣx=115,Σy=169,Σx^2=1387,Σxy=2032であるので、正規方程式は
10a+115b=169
115a+1387b=2032
となる。この連立方程式を解いてaとbを求め、それによって回帰関係式を求めることができる。
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