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情報システムの歴史

【日付 2000、11、1】【連載回数 第6回】


ウォーターフォールモデル(続き)

ウォーターフォールモデルの各フェーズの概要は次の様になっている。

1、分析フェーズ

分析フェーズでは、情報システム導入の対象となる業務を分析し、どのような情報システムを 構築すべきか明らかにする。これはさらに構築すべきシステムイメージを明らかにする システム企画フェーズと、それらを要求しようとして定義する要求定義フェーズに分けることができる。
(1) システム企画
情報システムの開発は、システムの導入を検討している利用者からの依頼に基づき、 現行の仕事やシステムがどのように実施されているかを理解し、そこに存在する問題状況 を発見することから始める。次にそれらの問題を解決するために、 コンピュータをどのような形で導入すべきかについての企画を行う。 最後に、コンピュータ導入のための目標、予算、スケジュール、人員体制、ハードウェア構成 、利用者への提供機能イメージといったプロジェクトの骨格を定める。
これらは、システム企画書としてまとめられる。
(2)、要求定義
システム企画に基づいて、システムに対する利用者の要求を明確にしなければならない。 この利用者の要求は、期待といった抽象的なものであるため、これを分析するにあたっては 何らかの記述様式が必要であり、様々な技法が提案されている。
分析結果は一定の様式にしたがって記述する。これは要求定義書と呼ばれ、 開発工程の中で最初に作成されるドキュメントである。

2、設計フェーズ

設計フェーズでは、要求しようを具体化するための設計案をまとめる。つまり、 利用者からの要求を実現する方法をしめすことであり、利用者の視点で定義された 仕様を開発者の視点で定義された仕様に変換する作業である。
これも、システム設計、モジュール設計の二つに分けることができる。
(1)、基本設計、
基本設計で仕様化するのは、システムの構成要素、すなわちサブシステム単位の仕様である。 サブシステムは機能に着目して分割される場合が多い。これらの設計案を一定の様式にしたがって 記述したものは基本設計書、あるいはシステム設計書と呼ばれる。
基本設計フェーズは、システムの要求仕様を実現するためのシステム設計を明らかにすることから 、論理設計フェーズとも呼ばれる。
(2)、詳細設計
詳細設計で仕様化するのは、サブシステムの構成要素、すなわちモジュール単位の仕様である。 基本設計書をもとに、物理データ構造とモジュール構造を定義し、各モジュールごとの処理 フローをフローチャート等で記述する。これを詳細設計書という。
詳細設計フェーズは、特定の実相環境を考慮してプログラムを作成するための仕様を 策定するため、物理設計フェーズとも呼ばれる。

3、プログラミングフェーズ

プログラミングは、詳細設計書に基づいて、具体的にプログラムを作成していく工程である。 記述する言語は、システムの目的に合わせて選択される。
また、この段階で、要求仕様書、基本設計書、詳細設計書に沿ってプログラム、および それらを統合したシステムの動作をテストするためのテスト仕様書を作成する。

4、テストフェーズ

システムとして要求仕様書どうりに動くかをテスト仕様書にそって体系的に確認する。 テストフェーズは、大きく、モジュール単体によるプログラムテスト、 モジュールをサブシステムレベルで結合した結合テスト、 サブシステムを統合したシステムテストに分けることができる。
テストの実施結果は、運用仕様書としてまとめておく。

5、運用・保守フェーズ

(1)、運用評価
実運用を通したシステムの評価を継続的に行う。ソフトウェアが完成し、ハードウェア とともに利用者の環境に設置され、実務で運用されるようになると多くのデータが入力され、 何らかの処理が行われて、その結果が活用される。
(2)、保守
システム変更要求への対処が必要となる。テストが行われたとはいえ、 ソフトウェアが完璧であるという保証はないために、運用中に想像もしていなかった ような不都合が発生することがある。また、運用している間に利用者の新たな要求や 仕様の変更が生じることも少なくない。

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