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「ヒトラーの長き影」第四章

【連載回数 第5回】
  
第5回目授業の内容
第四章 戦後西ドイツ社会の文学と映画に見る義務・国家・アウシュビッツ

●「義務の喜び」
ジークフリート・レンツの小説「国語の時間」より
時は1954年、主人公のジキは「義務の喜び」という題名で作文を書けといわれる。
ジキはいろいろな思いにとらわれ、書くことがまとまらずに何も書かずに提出する。
それにより、罰として独房に閉じ込められて作文を書かされることになるのだが、 それにより、ジキは彼の警察官であった父を思い出すこになる。
彼の父親は、ナチス文化担当者たちの不信を招いたことによって絵を書くことを禁じられた隣人にし友人の 「堕落」画家ナンゼンにその旨を伝え行動を監視することになるのだが、だんだんその父親と彼の母親が 何かに取り付かれたように画家のナンゼンを監視し始める。そして、だんだんと非人間的なほどに原則や 国家に忠実になっていってしまう。
そして、戦争がおわり、ナチスが無くなり、画家の監視の義務がなくなったのも にかかわらずその警察官である父親はその画家の迫害を やめることができず、ついにはパラノイア的症状を帯びるようになる。 そして、その父親は博覧会から今まで監視を続けいていた画家であるナンゼンの絵を盗み出して逮捕される・・・。

●ラートファーラー(自転車乗り)な市民階級
ここでいうラートファーラーとはいったい何か。
上からの圧力からは頭をかがめ、下では思い切り下のものを踏みつけるという意味である。
つまりは、上からの権威に盲従し、それによる蔑みを弱者に添加して快となすということである。
国家の決定に従い、個人の良心に従って決断したり、個人の責任を進んで引き受けるということは神に由来する 権威へ無礼であるという反感がまとわりつく。

●ハインリヒ=ヒムラー
ハインリヒ=ヒムラーというのはヒトラー部下の中でも有名なほうで、あの有名なSS(親衛隊)の長官で ある。 その、ヒムラーのおとなしかった幼少期から、ナチスへ入党しSS長官になり、レームを粛清し、死刑執行人と呼ばれるようになり、最後にイギリス軍に逮捕され服毒自殺するまでのビデオを見た。
内容は、何の特徴もないさえない男がたくさんの人間を殺させるようになるまでで、 ヒムラーが処刑の現場をみて気分が悪くなったとか、いろいろと興味深いものであった。
主な内容は国家と集団心理の恐ろしさだと思ったのだが・・・どうだろう?。
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