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資産

【2000.5.12】 【第4回】



1. 企業に役立つ働き(用役)を資産という
資産→企業がもとで(資本)をどのように活用しているかという、活用の状況を示したもの。
現代の会計は、損益法による計算方式をとっているから、資産には、財産的な価値のあるもののほか、経過的な項目も含まれることになる。
(1)現金、受取手形、売掛金・・・・(理由)貨幣ないしそれに近い性質を持っているから。
(2)商品、製品、土地、車両運搬具、備品・・・ ・(理由)財貨つまり経済的価値のある有体物だから。
(3)貸付金、前払費用、未収金、出資金・・・・(理由)債権つまり法律上の請求権だから。
(4)特許権、実用新案権、借地権、電話加入権・・・・(理由)工業所有権および債権(契約上の権利)だから。
(5)開業費、新株発行費、試験研究費・・・・(理由)支出の効果が次期以降に及ぶと期待されること、および期間損益計算の適正化という立場だから。
(6)営業権・・・・(理由)法律上の権利ではなく、事実関係、つまり無形のことがらだから。

2. 3種類の網を使ってグループ分けをする
金魚屋さんで売れる金魚と売れない金魚を区別するには、対象となる金魚を他の水槽に移すために、網を使う。資産も流動資産と固定資産に分けるときに網を使う。ここで言う網は、 営業循環という網と一年基準という網である。
資産という水槽に入れる網の順序は、
1、繰延資産という魚をすくうための網、つまり「商法の規定」
2、営業循環基準
3、一年基準となる。
商法の規定
繰延資産は、支出の効果の及ぶ期間という点を重視して、一時的に資産の部に計上された費用(繰延費用)が商法では、8種類に限定されている。
営業循環基準
商品や原材料を仕入れて顧客に販売し、回収した販売代金で次の仕入れを行うという一連の活動(営業)の中にある資産を「流動資産」とする基準。
一年基準
貸借対照表日(決算日)から1年以内にその性質が変化するものを「流動資産」とし、1年以上変化しないものを「固定資産」とする基準。


3.資本の水増しと秘密積立金
企業が持っている財貨や権利を貨幣単位で表わすことを評価 といい、価値を評定することである。
仮に、身長が1年間に10cm伸びた人がいるとする。この人が背伸びをした状態で身長を測り、15cm伸びたことになった場合、その差は5cm(=15cmー10cm)を資本の水増しという。
また、逆に膝を曲げた状態で身長を測り、5cmしか伸びていなかったことになった場合、その差はマイナス5cm(5cmー10cm)、つまり隠された5cmを秘密積立金という。

4.帳簿に記入する価額にもいろいろある
帳簿価額というのは、帳簿に記録されている資産の価額のことである。帳簿に記録する資産の価額は、その資産を使用するまでにかかるすべての付帯費用を含めた取得原価によることになっている。この基準を取得原価基準と呼ぶ。
取得原価基準は「取得」時の帳簿価額(入帳価額)を決定する基準である。したがって、翌期以降の価額は、価値の減少を伴わない土地、借地権などを除き、原則として帳簿価額が変動することになる。

5.活動を止めて清算するときは、時価で評価する
企業が活動を停止する場合、
1、解散や清算をするとき
2、他の企業と合併するとき、
3、営業を他の企業に譲渡するときは、その時点の市場価格などの時価によって評価することになる。
資産を時価(市場価格など)によって評価することから時価基準と呼ばれる。時価基準は、資産の貸借対照表日に「売却する」と仮定したときの価額である。



・ビジネスコンピューティング検定試験 平成12年度3級知識科目問題

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