←講義のツボメニューへ
第19回、第20回
【2003,11,27】
10 コンピュータアーキテクチャの具体例
10,1 アーキテクチャの具体例
10,1,1 SEP-2とは
SEP-2=Shizuoka Educational Processorの略称
静岡大学情報学部で情報学科の学生の設計実習用にデザインした16ビットCPUのアーキテクチャ
10,1,2 SEP-2のハードウェア環境 :KITE
SEP-2はKITE(Kyuusyuu Institute of Technology)ボードと呼ばれるマイクロプロセッサ試作キットに搭載されている。
KITEボードはLSI、メモリチップ等を1枚のボード上にくみ上げてキットに仕上げたもの
10,1,3 主メモリ
主メモリは全64K語(アドレスは10進で0〜65535番地、16進で0000〜FFFF番地)(K=1024)
1語=16ビットの構成である。
■ SRAMメモリ読み出し動作
(1)CPUが読み出したい番地(2進16ビット)を用意し、Mバスアドレス線へ出力する。
(2)CPUから主メモリへ読み出し要求信号MREQ#を出力する。
(3)一定時間後主メモリからMバスデータ線上にメモリ内容(2進16ビット)が出力される。
■ SRAMメモリ書き出し動作
(1)CPUが、書き込みたい番地(2進16ビット)を用意し、Mバスアドレス線へ出力する。
(2)CPUが、書き込みたいデータ(2進16ビット)を用意し、Mバスアドレス線へ出力する。
(3)CPUから主メモリへ書き込み要求信号MREQ#、R/W#を出力する。
(4)一定時間以上経過したところでMREQ#,R/W#を取り下げる。
10,2 SEP-2アーキテクチャの全体像
1 語長とビットアサイン : 1語=16ビット、Little Endian(降順アサイン)
2 メモリ番地指定範囲 : 0〜6553510番地(0000〜FFFF16),メモリ保護機構、リロケーション変換など
3 データ形式
3,1 数値データ : 2進固定長のみとする。符号表現は2’Complement方式。
3,2 論理データ : 全角文字1字データあるいは16ビットパターンデータ
4 命令形式 : 2オペランド形式1種類のみとする。
OP : Operation Code
SOP : Sub-operation Code
F : From Operand
T : To Operand
5 汎用レジスタ
16ビット×8個 R0〜R7
R5は常にPSWとして使う。
R6は常にスタックポインタとして使う。
R7は常にプログラムカウンタとして使う。
6 PSWの定義
下位4ビットの左から
N : Negative
Z : Zero
V : Overflow
C : Carry
7 割り込み方式
割り込み要因
(1) 外部信号
(2) 割り込み要求スイッチ
(3) SVC命令(TRAP命令)
10,3 命令の概要
SEP-2の命令形式は前節4項に示す2オペランド形式1種類である。
HLT命令、NOP命令は実質上0オぺランド、CLR命令、SFT命令は実質上1オペランドである。
実質動作上はそうであっても、命令形式上とくにオペランドアドレスは、キチンと2オペランド形式
の定義を守っている。これは命令定義の自由度の幅を犠牲にしても、命令形式の規則性を遵守することで、
結果としてハードウェア設計の負荷とハードウェア量とを大いに節約するためである。
10,4 オペランド指定方法
テキストのP59の命令フォーマットをもとに説明する。
Fの部分がFオペランドを指定し、Tの部分がTオペランドを指定する。
さらにF,Tを各々モード(mm)とアドレス(rrr)に2分割する。
このアドレス指定方式は、rrrの3ビットで8個の汎用レジスタを指定することにしている。
主メモリの番地は、汎用レジスタを介して指定する。