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第5回、第6回
【2003, 10, 16】

3 コンピュータの構成装置


3,1 代表的構成装置

入力装置 → 入力機能
記憶装置(主記憶、補助記憶) → 記憶機能
CPU → 演算機能、手順制御機能
出力装置 → 出力機能

3,2 入力装置

入力デバイスの役目:情報形式の交換;コンピュータが扱い易い信号(コード)
[入力データの流れ]
人間→入力デバイス→デバイス制御装置→入出力バス→主記憶装置
[入力デバイスの例]
キーボード、マウス、タッチパネル、バーコードリーダ、イメージスキャナ

3,3 主記憶装置

現在実行中(または一時中断中)のプログラムが記憶されている。
マンションの部屋のようなアドレス番号(番地)がついている。
読み出し要求、番地 -----------> 主記憶 -------->記憶内容、読み出し完了
書き出し要求、番地、データ -----> 主記憶 -------->書き込み完了
主記憶の要素はRAM
特殊記憶のための素子:ROM(電源を切っても記憶内容が消えない)

3,4 補助記憶装置

フロッピーディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)
CD-ROMドライブ(CDD)→ 近い将来DVD(書き込み可能)
一般に、電源を切っても記憶内容が消えない。
媒体交換ができる(FD、CD)

3,5 CPU(Central Processing Unit)

命令の逐次実行(順番に1個づつ実行する)を行う装置。
1個の命令は細かい要素動作に分解して順番に実行する。

命令の読み出し→命令の解釈→命令の実行 ※命令の実行 … データの読み出し→演算の実行

CICS & RISC (Complex Instrection Set Computer, Reduced Instruction Set Computer)

3,6 出力装置

CRTディスプレイ(Catbode-Ray Tube)、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal)
※液晶ディスプレイ…DSTN(Dual scan Super Twisted Nematic)、TFT(Thin Film Transistor)
ドットプリンタ、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ(Laser Beam Printer)
主記憶→入出力バス、ビデオRAM→ディスプレイ制御装置→ディスプレイ
主記憶→入出力バス→プリンタ制御装置→プリンタ

4 プログラム & データの記憶(フォンノイマン型コンピュータの基本構成)


4,1 主メモリの使い方

フィンノイマン型コンピュータでは普通主メモリは1語単位に情報を記憶する。
1語のビット長は32ビット(=4バイト)がほとんどで、主メモリのすべての語に各々番地が与えられている。

4,1,1 プログラム内蔵

主メモリ内にコンピュータの動作手順(すなわちプログラム)が内蔵。
プログラムは命令(演算手順の指定)とデータ(演算の対象データ)とから成る。

4,1,2 命令語とデータ語

命令もデータも1語を基本単位として、2進数の形で表現され、格納されている。
命令語とデータ語との間には形の上では何の区別もなく、主メモリのどこの番地へも格納できる。

4,1,3 主メモリからの読み出し

命令語もデータ語もすべてメモリに対して番地指定して、読み出し要求信号を送れば番地内容が読み出せる。
読み出した番地の記憶内容は変化せずにその番地に保持されている。他の番地は何ら影響を受けない。

4,1,4 主メモリへの書き込み

書き込みたい番地を指定し、書き込みたいデータを指定し、書き込み要求信号を送れば、主メモリのその番地の内容を書き換えることができる。

4,1,5 命令の逐次実行

フォンノイマン方式のもうひとつの特徴は命令を1個づつ主メモリからCPUへ取り出して実行することである。
実行が終わると次の命令を取り出す。次の命令をどのメモリ番地から取り出すのか?それは、別格の指示(分岐指示)のない限り現在の命令番地の次の番地から取り出すこととなっている。
その結果CPUはプログラマが書き下した順序どおりに逐次に命令を実行する。
(順番を違えて実行すると意味のない結果が出る。並列処理にはその危険がつきまとう)
現在の命令が仮に分岐を指示する命令であれば、次の命令は分岐指示されたメモリ番地から取り出す。プログラマは分岐命令をプログラムしたときは、分岐した先でのプログラム続行を用意しておかねばならない。
コンピュータは複雑な動作も膨大な動作もやってのけるが、根本の部分では単純な命令を1個づつ逐次実行しているに過ぎない。

4,1,6 プログラム内蔵の意味

”プログラム内蔵””命令語/データ語が同一形式”というフォンノイマン方式の特徴が今日のコンピュータに大きな柔軟性を与えた。
コンピュータのソフトウェアとハードウェアの関係に類似する装置として古くはオルゴールや自動模範編み機、新しくはビデオテープ装置があげられるが、いずれもソフトウェアに相当するものがハードウェアと一線を画し独立の別物として与えられる。ハードウェアは与えられたソフトウェアの順序どうりに動くだけであり、それ以上の柔軟性はない。
対して、コンピュータのソフトウェアは主メモリに内蔵され、かつその記憶形式がプログラムもデータも同一形式であるために以下のようなことができる。
(1)あるプログラムが別のプログラムを単なるデータと見立てて移動させたり部分変更したり消去したりできる。

(2)あるプログラムが自分自身のプログラムの一部を状況に応じて変更することができる。

OSがユーザの指示に対応して応用ソフトを表に出したり裏に引っ込めたりできるのは、この特徴のたまものである。

4,2 命令実行サイクル

フォンノイマン方式にしたがってCPUと主メモリのやりとりを行う具体的インターフェイスはどうなるのか?
これはテキストのp14参照。
今後説明に例示するコンピュータはすべて1語16ビットとし、簡単のため番地やデータを16ビットバイナリではなく4桁ヘキサデシマルで表示する。
1語の大きさが決まると、普通の命令語はすべて1語、データ語も1語、番地指定も1語である。

4,2,1 命令の実行手順のあらまし

CPUは命令を1個づつ主メモリから読み出し、その命令の指示に従って演算実行する。
1個の命令の読み出し開始から実行終了までを1個の命令実行サイクルと呼ぶ。
1つの命令サイクルを終了すると次の命令実行サイクルが始まる。

命令1の読み出し→命令1の解釈→データF1・T1の読み出し→実行→命令2の読み出し→命令2の解釈→…と続いていく。

続きは次回に…
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