教育原理のツボ
第10回(12/3)


【講義テーマ】

  学力論と能力を巡る問題(1)

【講義のツボ】

● 学校のつらなりに関する話

 ・ 最初から、『小学校→中学校→高校→大学』というような流れになっていた
 のではなく、始めに大学が、次に小学校ができた。

 ・ 大学とは、始めは『教授と学生の集団』であった。教授が指導してやると
 いった考え方は後にできたもの。それは近代化による役割の分化・制度化に
 よるものである。

 ・ 律令制度により、公務員ができ、公務員を育てるために『学校』ができた。

 ・ 寺子屋は読み書きそろばんを勉強するためのみにできた。


● 宗教と宗教学(という教育分野)

 以下にはそれぞれ違いがある。

 ・ 宗教 ―― 信じるという事。根拠は必要ない。

 ・ 宗教学 ―― 宗教を客観的に分析する。

 ・ 神学 ―― 宗教を主観的に分析する。


● 大学の定義

 講義内容には関係ないと仰っていたので、特に掲載しない。


● 学校の区分

 以下の3つに大分される。

 ・ 初等教育 ―― 基礎教育。小学校が当てはまる。

 ・ 中等教育 ―― 完成教育。中学校・高校。ここまでで、一般的に社会に
           出る人間として充分であるとされる程度の教育を行う。
           (→だから、本来的には受験勉強中心に教育を行っている
          高校は好ましくない


 ・ 高等教育 ―― 専門学校及び、職業教育。大学・専門学校など。


● 国外の大学事情

 ・ アメリカなどは、センター試験・AO・推薦入試しかないと言っていい程の
 入試体系である。

 ・欧米の有名大学では、定員の何%かを寄付金の量・有無で決める事がある。

  このように、各国の入試・教育システムは相当に異なる。それは、歴史と
 伝統に裏打ちされたものであり、好きなように後から動かせるものではない。
 しかし、逆にそれは歴史の転換点(環境が変わる・変わるべき時)での、
 人々の選択がシステムを変動させた結果でもある。

● 複線制の伝統について

  ドイツ・イギリスなどでは、文法を学び、正しい言葉使いをする人間が
 優れているという古典的思想が主流であり、故にグラマースクール・
 ギムナジウムといった文法・古典を学ぶ学校が上位に位置し、モダンスクール・
 レアルシューレといった、働くための実践的な知識を学ぶ学校が下位に
 分類されている。

【参考資料】

 特になし。前回の配布資料を使用しました。

教育原理のツボ (C)千葉 佑介