第5回:pn接合ダイオードとトランジスタ


<pn接合>
ある一体のシリコン結晶の半分をp型半導体、残る半分をn型半導体とする。


このような特殊な構造の結晶では熱エネルギーによる電子の活動によって、
n型領域のリンの五番目の電子が自由電子となって接合面を越えてp領域のガリウムの空き座席に入り込む。


結果、接合面の両側の一定の区域で正孔と自由電子とが結合して消滅してしまう。
そして消滅した領域を空乏層と呼ぶ。


リン原子から自由電子が拡散 → 残ったリン原子はプラスに帯電

ガリウム原子の正孔に自由電子が捕捉 → ガリウム原子はマイナスに帯電

これにより双方に電位差(およそ0.7V)が生じる。


<pn接合ダイオード>
pn接合に対して下図のように電池をつなぐ。


電池の電圧と空乏層の電位差は競い合っている。

電池の電圧 < 空乏層の電位差
 BC領域からの反発力が強いので、自由電子D→Aへの移動は微量。

電池の電圧 > 空乏層の電位差
 電池の電圧が反発力を上回り、自由電子はどんどんD→Aへと移動する。


この状態になると電気回路が形成され、
電池から自由電子がいくらでも供給・吸引されるのでスムーズに電流が流れる。


次は電池を逆方向にしてみる。


そうするとA領域に自由電子が送り込まれるので、正孔が捕捉されてB領域が拡大する。
一方D領域では電池が自由電子を奪い取るのでC領域が拡大する。

B領域
 →電子を補充した分マイナス帯電が増大

C領域
 →電子を奪われた分プラス帯電が増大

結果として、この方向で電池をつなぐとVをいくら大きくしても電流は流れない。


このように、一方向にのみ電流をよく通し、
逆方向には電流を通さない素子をダイオードという。





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