←【アプリケーション総論】シラバスへ
←講義のツボメニューへ

在庫管理2

【2001.05.17 2限 第5回】
2.在庫管理・他
発表者:吉川

▼需要が不確定で発注決定が独立の場合

ペイオフ表による分析を行う。

○ペイオフ表による分析
例)
ある衣料品店で、今年の冬の流行の婦人服を販売する場合を考えてみよう。
この婦人服は何着売れるかわからない。また流行ものであるから、シーズン中に売らなければ価値が下がってしまい、在庫処分のための安売りをしなければならなくなる。また、シーズンに入ってからの追加発注は出来ない。
仕入れ価格は1着あたり10000円、販売価格は15000円、過剰在庫処分価格は8000円とする。
今までに類似の福を販売してきた経験から、以下のような需要の確率分布が予想される。

需要の確率分布
需要量 確率
50 0.15
60 0.2
70 0.3
80 0.2
90 0.1
100 0.05
仕入れ量をX、実際の需要量をY、利益額をZとして、利益がどのように決まるか考えてみよう。
まず、実際の需要量Yが仕入れ数量X以上の場合、すなわち、仕入れが少なかった場合には
Z=15000X-10000X=5000X(Y>=Xのとき)
となる。逆に、実際の需要量Yが仕入れ数量X未満の時、すなわち、仕入れ数量が多すぎた場合には
Z=15000Y-10000X+8000(X-Y)=7000Y-2000X(Y<Xのとき)
となる。

これらの式に対して、前述の表で上げられた需要量を代入して、利益Zがどのようになるかを計算すると、下のような表になる。この表をペイオフ表という。

ペイオフ表(単位:万円)
Y/X 50 60 70 80 90 100
50 25 23 21 19 17 15
60 25 30 28 26 24 22
70 25 30 35 33 31 29
80 25 30 35 40 38 36
90 25 30 35 40 45 43
100 25 30 35 40 45 50

さて、前述の確率で需要が予想されるとき、何着の服を仕入れるのが良いだろうか。
ペイオフ表の各行は、それぞれ仕入れた数量によって発生する利益を示しているので、それぞれの仕入れ数量に対しての平均的な利益(期待利益ともいう)を、ペイオフ表の各列の値に需要確率を掛けて足し合わせることによって計算出来る。

期待利益の計算(単位:万円)
Y/X 50 60 70 80 90 100
50 25×0.15 23×0.15 21×0.15 19×0.15 17×0.15 15×0.15
60 25×0.2 30×0.2 28×0.2 26×0.2 24×0.2 22×0.2
70 25×0.3 30×0.3 35×0.3 33×0.3 31×0.3 29×0.3
80 25×0.2 30×0.2 35×0.2 40×0.2 38×0.2 36×0.2
90 25×0.1 30×0.1 35×0.1 40×0.1 45×0.1 43×0.1
100 25×0.05 30×0.05 35×0.05 40×0.05 45×0.05 50×0.05
平均 25.00 28.95 31.50 31.95 31.00 29.35

それぞれの各列の値を合計して平均の行の値(期待利益)とすると、上のような表になる。
この表から、期待(平均的に予想される)利益は、80着仕入れた場合に319500となり、この時が一番大きいとわかる。

▼需要が不確定で発注決定が独立でない場合

この場合には、需要が不確定であるから、発注した商品が売れ残る場合もあるし、売り切れて商品が足りなくなる場合もある。
また、複数回の発注決定があり、かつ、前回発注による売れ残りの商品がある場合には、これを次の発注で考慮しなければならない。

○調達期間(リードタイム)
調達期間(リードタイム)・・・発注から入荷まで、製造や出荷のために要する時間のこと

○発注システム
以下の2つがある


2−2.ABC分析分析による在庫管理(パレード図)
いままでは1つの商品のみの在庫管理だった。しかし、現実社会では多数の商品を扱っている。これらはどのように管理しているのだろうか?

○パレード図
多種の商品を扱う場合には、ABC分析と呼ばれる方法が使われる。

ABC分析・・・販売金額が大きい商品と販売金額が小さい商品をそれぞれ異なる管理基準で管理することにより、全体として最適な管理状態を実現しようとするもの。

この方法を使うために、まず販売金額のグラフ(パレード図という)を作ることから始まる。
手順は以下の通り
  1. 各々の商品について、一定期間内の販売金額を計算する。販売金額は、販売数量と販売単価の積である。
  2. 販売金額の大きい順に左から右へ商品を並べ替える。これをグラフの横軸にする。横軸は商品(1品目1メモリ)とする。
  3. 販売金額の大きい左側の商品から右へ販売金額を累積していき、これを縦軸としてプロットする。
  4. プロットした点をつないで累積折れ線グラフとする

○ABC分析
ABC分析では、作成したパレード図で、商品をA、B、Cの3グループに分ける。


演習課題2
発表者:小林

(1)プリントP.109表4-13の取扱商品に基づき、「パレード図」を描きなさい
(2)上記(1)に基づき、ABC分析により商品を分類せよ
(3)上記(1)、(2)の解説を記述せよ

表4-13 取扱商品
商品名 単価(円) 年平均販売数量 販売金額
チョコレート 100 1500 150000
風船ガム 50 320 16000
キャラメル 90 2000 180000
あめ 30 3000 90000
のり巻きせんべい 150 120 18000
のり巻きあられ 170 100 17000
アイスクリーム 80 190 15200
ビスケット 55 66 3630
ようかん 110 90 9900
えびせんべい 120 300 36000
クッキー 200 150 30000



←【アプリケーション総論】シラバスへ
←講義のツボメニューへ
←鈴木研究室ホームへ