第12回
今回もメディアコミュニケーションについてやりました。
まず、最初にテストを行いました。と言っても、成績に関係するようなテストではなく、『情報処理活用能力検定2級』とやらの例題です。とりあえず、問題と正答のみアップしておきます。
問題1、ネットワーク社会では、利用者のモラルが問われる。次の項目の中で、これに該当しないのはどれか。
正答.企業ユーザは情報発信にはいつも上司の許可を取るべきである。
理由.社内の問題であるから。
問題2、次の項目の中で、電子コミュニケーションの特性にあてはまらないのはどれか。
正答.大量のデータをMOに格納して送付した。
理由.郵便を使用しているから。データを直接ネット経由で送るのなら可。
問題3、電子コミュニケーションでは、匿名による情報発信ができる。次の項目の中でこれに該当しないのはどれか。
正答.友人に自分のあだ名で電子メールを送った。
理由.あだ名だと、友人には誰からかわかる。
問題4、最近「ネチケット」という単語を耳にするようになったが、これは何を意味するか。回答群から選べ。
正答.ネットワークを有効に利用する上での暗黙のモラル。
理由.これが一番妥当である。
問題5、公衆電話網(無線電話を除く)を使ってパソコン通信を行う上で、必ずしも必要でないものはどれか。回答群から選べ。
正答.電話機
理由.パソコン通信には必要ない。
問題6、パソコン通信を行おうとしたが、うまく相手とつながらなかった。原因調査のためのチェックとして適切でないものはどれか。回答群から選べ。
正答.表計算ソフトと回線が競合していないか。
理由.表計算ソフトは、通信とは関係ない。
問題7、電子コミュニケーション分野で、現在実現できていないのはどれか。回答群から選べ。
正答.リモートメンテナンス機能を使って、遠隔地にあるパソコンのハードディスクを物理的に交換する。
理由.物理的に交換するのは不可能。
以上。
★メディアコミュニケーション(2)
(1)の続き
・前回やったこと、やり残したこと
テーマ:メディアはコミュニケーションの本質を変えてしまったのだろうか?
−コミュニケーションライフの事例
−コミュニケーションの広がり
−メディアコミュニケーションを考える二分法
−メディアは「人」や「世界」を変えたか?
◇紹介した二分法
※詳しくは、前回分を参照してください。
メディアは「人」や「世界」を変えたか?
〜やり残したこと〜
◇メディアが作る世界の影響
・Face-to-face:限定的、親密、関与性
→個人的なコミュニケーションもメディアで
・Mediated:多くの情報を迅速に知る。(例:湾岸戦争の中継)
→誤解や偏見も生まれる。(媒介が入るため。例:伝言ゲーム)
・便利さとわずらわしさ:自由と不自由(知りたくない事と知られたくない事)
◇ともに分かち合う想像の共同体
→農業(土地に密着)
・直接会ったことがない人と情報を共有
・活字メディア:読書し議論する公衆(元々は聖書が印刷されていた)
・映像メディア:消費する大衆
(情報を一方的に受け取る→マスメディアに操られ、大量消費を支える)
−テレビドラマのファン:ブランド信奉者として「イメージの世界」を生きる
−享楽的消費行動、社会的無関心、自己中心的
・グローバルメディア:崩壊するネティズン?
◇ほんものとリアルは同じか?
・擬似は本物/偽物があってのもの?
・リアルvsバーチャル
・オリジナル/コピー志向vs脱オリジナル/コピー志向
の2軸でリアリティを分類
オリジナル/コピー志向 リアル 本物/偽物 パロディ
(ものまねなど)バーチャル イミテーション
(本物でないとわかっている)シミュラークル
(模造品)脱オリジナル/コピー志向
・本物/偽物=リアルを志向するから区別
・パロディ=本物を茶化したりばかにする
・イミテーション=まがいもの
−はじめから本物でないことが明らかな偽物
・シミュラークル(模造品)
−オリジナルなきコピー:独自の本物らしさ
例:バーチャルアイドルDK95、ディズニーランド(アメリカらしい所)
−ハイパーリアル:これも一つの本物か?
ところで、メディアはコミュニケーションの本質を変えてしまったのだろうか?
◇ネットで発生する諸問題
・CMC特有の問題なのか?
CMC=Computer-Mediated Communication
・CMCについての諸問題<プリント表4-6参照>
→ネットでなくとも存在し得る
・CMCの関係構築志向性
◇CMCの問題点(心理的影響) ・「情報環境の変化が
→コミュニケーションの変化をもたらし
→心理的影響を及ぼす」
・以上をまとめた宮田(1993)の表(プリント表3.4.1参照)
◇メディア選択に関する要因
1:内容に関して
→内容によってメディアを選ぶ
・言語行為の種類
−挨拶、お礼、依頼、情報交換など
・儀礼性(相手による)
→プリント図3参照
・機密性や深刻度
・いいにくさ
・展開製(応答や発展的会話の必要性)
◇メディア選択に関する要因
2:メディアに関して
・物理的簡便性(記録・保存性)
→都合の悪い記録は残したくない
・社会的存在感(Social presence)…圧迫感の有無
−対面会話→テレビ(会議)→電話→CMC→事務文書の順で存在感が低くなる
−説得力、親密性、即応性に関係する
・社会的手がかり(Social cues)…どの程度の匿名性か
−CMC=社会的地位や属性が迷彩化する
→議論への平等な参加が促進される
→反面、結論が極端に走る可能性あり(ブレーキがきかない)
◇メディア選択に関する要因
3:対人要素
・相手との上下関係
・相手の人数
一般的に:相手に精神的コスト(手間ひま、心理的労苦)を強いる場合(依頼)や話の展開が必要な場合(悩み事)は「直接コミュニケーション」が使われる。
◇なぜ電子メールは気軽か
・場を共有しない(距離感覚の消滅)
・記録性、保存性が高い
・儀礼性が低い(お礼には失礼?)
・個性、身体性が低い(お手軽)…お互いの事が分かりにくい
・物理的な客体感が低い(走り書き)…便箋などが関係ない
・完結性、一回生起感が低い…レア度が低い?
→サイバーフレンドづくりに最適
◇なぜ電話は愛されるのか
・リアルタイムに言葉が交わせる
・文字でなく声で伝えるリアルさ
・耳打ち話の親密さ内緒話
・相手が見えない危うさ・うそ
・駆け引きができる「ゲーム性」
→視覚情報なしで肉声を伝えるから…危ない
◇インターネットは「カスタマイズ・メディア」
・多様性を許容するメディア
・しかし、共通の4つの特徴がある。
1.シームレス化
2.ストック化
3.空間の無意味化
4.リアリティの危機をもたらす
◇インターネットコミュニケーションの特徴
1:シームレス化
・マスコミと対人コミュニケーションの境界を喪失(seam-less)
・「記者」や「著者」の発言特権が消失
・誰でも「発信」し得る(可能性)
・「編集」を経ない情報:玉石混合
・マスメディアにはない魅力→発信者になる条件
−個人の独特の内面や魅力を語る
−個人の語り口や論理
−得意な情報源(cf.「巣子」情報などのローカル情報)
◇インターネットコミュニケーションの特徴
2:ストック化
・社会的な情報のデータベース化=ストック化…どんどんたまっていく
・情報流通の急激な増大(1988〜1998で4.8倍)
→情報のオーバーロードによるストレス
・通信白書「情報選択倍数」:選択の自由を強調
・「自由がある」というための条件
−情報を容易に検索できること
−情報を捨てられること
−必要のない情報には接触しないで済むこと
−信憑性のある情報の集め方が分かること
・情報公開=社会的監視機能を果たす
−誰でもチェックできる機会があることが重要
・知識の社会的分散と共有(リンク構造)
−リアリティの根拠をリンク先に依存する
−(何が本当かは、どことリンクしているかで表現される)
・社会的エンパワーメント(勢力形成=力をつける)
−情報という武器をたやすく手に入れられる
◇インターネットコミュニケーションの特徴
3:空間の無意味化
・物理的・地理的空間による制約の緩和
−新しい集団がつくられ、混成が進む
・「情報縁」による集団の活動
−ファンクラブ、趣味、同窓会、勉強会 etc
−可視性が高く、メンバーの回転が速く、コミュニケーションが速いという特色を持つ
・マイノリティ(少数派)にも朗報(例:同性愛者)
−地理的に分散した同類を結びつけ、アイデンティティをバックアップし、自己受容やカミングアウトをサポート →少数派は生き残る!
◇インターネットコミュニケーションの特徴
4:リアリティの危機
・みんなが知っている信頼できる情報(=共通の話題)が欠如
→社会的リアリティ形成の不確実化
・制度的リアリティ:どのサイトを信頼していいか?
−マスメディアや教育機関が提供する情報を信頼
・対人的リアリティ:どこの誰ともわからない相手
−「テレビでこんなニュース見たんだけど?」との個人的な絆や信頼感で不安を解消
・信念レベルのリアリティ:コミュニケーション前提の食い違い
−常識を共有する世界だけで生きていた
→自分の常識が通じる世界の狭さに気付いていなかった。
メディアは「人」や「世界」を変えたか?
変えたとしたらどう変えた?
あなた自身にどのくらい当てはまる?
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