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←【ドイツ語とドイツ事情II】シラバスへ 「ヒトラーの長き影」第八章
【連載回数 第9回】
第3回目授業の内容
連邦首相、連邦大統領と、ヒトラーの長き影
●連邦首相と内閣首相
西ドイツの政治体制にあたっては連邦首相は内閣首相班として政治の基本方針を定め、内政と外交政策を指導し展開する。連邦大統領はただ国を代表する仕事のみを担う。この地位には国民の良心のようなものが付与されており、つまりは連邦大統領の仕事は精神的なもの、道徳的なものである。●ナチ党員が首相に
コンラート・アーデナウアーは、ナチスによって1933年にケルン市長を解任されて定年前の年金生活者となって1944年に事件に巻き込まれて拘禁。彼の目標は東西ドイツの統合ではなくて、西ドイツによる東ドイツの吸収合併であった。
アーデナウアーは猛烈な反社会主義者で、アーデナウアー政権の経済政策を決定したのは「ドイツ経済の奇跡の父」ルードビッヒ・エーアハルトである。エーアハルトは経済の私的イニシアチブと自己管理をが行われることを規定し、生産資本が私的所有権に保持されることを支持した。その結果、多くの人は戦争で財産を失い、特に何かができたというわけでもない人の何人かは戦争によって儲けることになった。敗戦のしわ寄せは一般国民に課せられ、それにより、通貨革命(1948年)の引き金となった。連邦大統領
●第二の罪
ラルフ・ジョーダーノがその著「第二のシュルト(罪)」で述べているものによると、西ドイツの歴史の中で「コレクティーフシュルト(集団責任)」という言葉ほどの刺激語は無い ということである。
つまりはどういうことかというと、「ドイツの国民全部がナチを支持し、大量虐殺を行った。これは決して少数の権力者による強制や誘惑によるものではない」ということだからである。それゆえに戦後の連邦大統領であるテーオドーア・ホイスはシュルト(罪としての責任)という言葉を使わずにフェアントウヴルトウング(果たすべきものとしての責任)という言葉を使った。
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