セルラー方式

(せるらーほうしき)


定義 : 無線通信ネットワークの無線基地の設置方式のこと。

解説 :

  周波数資源の有限な無線通信では、周波数を有効にすることが極めて重要である。このため,移動通信方式の構築にあたっては,地理的に離れた場所(電波が干渉を起こさない距離を置いた場所)で同じ周波数を繰り返し使用することが必要になってくる。そこで、生物が小さな細胞の合成でできているように広い地域を細胞(セル)状に細かく分割してそれぞれのセルに基地局を設ける。各基地から同じ周波数の電波を発信しても基地間で電波障害を起こさなければ、同じ周波数が使えるため周波数が有効に利用できるというわけである。
 この方式は携帯電話システムに採用されており元来、自動車携帯電話に採用されていたことから、自動車携帯電話の代名詞として使われることもある。同様にPHSにもセルラー方式が使用されており、セルの大きさは携帯電話システムに比べて小さい。

 セルラーには第1世代のアナログ変調方式として、日本のNTT方式、北米のAMPS方式、北欧のNTM方式、西欧のTACS方式などがある。日本では,NTTが79年からアナログ方式のセルラー電話サービスを始めた。当初のNTTは、基地局を設置する区域(セル)を市街地で半径5〜10km、郊外で半径15kmに設定したが、1986年5月から市街地でセル半径3kmに設定し、基地局を2倍に増やした。最近では、首都圏のセル半径は1.5kmになっている。よりいっそうの周波数の利用効率向上をめざして,ディジタル方式への移行が始まっている。また、93年3月からのNTT移動通信網についでセルラー電話グループ(DDI系)、日本移動通信、デジタルホン・グループ(日本テレコム系)、ツーカー・グループ(日産自動車系、DDI も参加)がそれぞれディジタルのサービスを始めた。周波数は800MHz帯と1.5GHz帯を使う。方式として周波数の繰り返し利用が容易なTDMA(時分割多元接続:time division multiple access)方式を採用した。
第2世代として登場したのがデジタル方式では、日本のPDC方式、欧州のGSM方式、米国のUSDC方式などがある。ただし、それぞれに互換性はない。そこで第3世代として世界標準を目指すFPLMTSが検討されている。

 CDMA方式は米国で実用化されており,日本でもセルラー電話グループが98年4月以降にサービスを始めた。99年4月にはセルラー電話グループの各社のほか,日本移動通信もサービスを開始,相互に補完する態勢を整えた。自動車電話、携帯電話、PHSのように各地で同じ周波数の電波を同時に使わなければならない通信システムで有効な手段と言えるだろう。


参考文献

日経コミュニケーション 通信サービスガイド2000 (http://www4.nikkeibp.co.jp/CSG/wordindex/celler.htm)
標準パソコン用語辞典(秀和システム株式会社)


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2000/8/10作成 by Shintaro Anzui