インターネットを介して,パソコン同士の間で行うリアルタイムの音声通話のこと。パソコンにマイクとスピーカを接続し,「インターネット電話」専用のソフトウエアをインストールすることで,通常の電話のように通話することができる。
インターネット電話用のソフトウエアには,米VocalTecの「InternetPHONE」,米FreeTelの「FreeTel+」などが有名。製品版が数十ドルで提供されているほか,WWWサーバーから無料版をダウンロードすることもできる。米ネットスケープは,同社のWWWブラウザ「NetscapeNavigator
Ver3.0」以降に,米InSoftの「CoolTalk」という電話機能を組み込んでいる。米マイクロソフトも同社のWWWブラウザ「Internet
Explorer 3.0」以降にインターネット電話ソフト「NetMeeting」を搭載している。
ただし,こうしたインターネット電話ソフトの仕様は各社まちまちで,同じソフト同士でないと通話できない。現在,IETF(インターネット・エンジニアリング・タスク・フォース)で標準規格を作成中である。
インターネット電話の音声品質は,回線容量にもよるが,通常の電話に比べればかなり低い。インターネット内での遅延の影響で音声が途切れ途切れになることもある。
しかし通話する距離がどんなに離れていても,プロバイダ使用量+プロバイダまでの電話量だけで済むため長距離の通話料が格安となる。既存の電話会社,特に長距離電話や国際電話会社は,電話収益を脅かす存在になるのではないかと,徐々に警戒感を強めている。米国の中小規模の長距離電話会社130社の団体であるACTA(米国キャリアズ・テレコミュニケーション協会)は96年3月,米連邦通信委員会(FCC)に対して,「インターネット電話ソフトや関連ハードの販売・使用の差し止め」を求めた。
国内では,リムネットなどがインターネット電話サービスを始めている。
さらに日本の郵政省は97年8月から,音声の国際公専公接続について,インターネットを利用するものに限り解禁した(インターネット以外は97年12月解禁)。これにより,インターネット国際電話サービスが可能となり,AT&T
Jensやリムネットなどが参入している。
赤堀 侃司(あかほりかんじ)、標準パソコン用語辞典、秀和システム出版編集部
http://www4.nikkeibp.co.jp/CSG/wordindex/ 「通信関連用語集」
担当 田面木 大介(0311999107)