情報操作は,学術用語としては確立していないため,倫理問題として考察を行う.
この場合情報操作とは,「情報の発信者が,自分の都合のよいように情報を作為的に操作する行為である」という事ができる.すなわち,発信者が特定の意図(利益関係,事をスムースに運ばせる)により,情報の制御を行う行為であると言える.
情報操作は,その操作の仕方により次のように分けることができる.
- 情報の独占,断絶
これは,ある種の情報を自分達だけが持ち,関係者以外には流さないという行為である.これは,特定の個人,集団が利益を得るために用いられることがある. また,自分達に都合の悪い情報について,その隠蔽を行う行為も含まれる.
この行為により,インサイダー事件が過去に起こっている.これは,自社の株価が下がる状況が発生したときに,その状況報告を行う前に自社株を売り,利益を得ている.
このように情報を悪用した場合も,情報を独占していた,と言える.
- 情報の捏造
情報の捏造は,特定の発信者が特定な意図をもって,虚偽の情報を作成したり,未確認情報を流すことで個人や団体の利益を得ようとする行為である.嘘やうわさなどもこれに分類され,またその行為をマスコミなどが行った際には,社会的影響が大きくなることから,そこに生じる利害は大きなものとなる.
講義でも扱われた,西表島の撮影もこれに該当する.
- 情報の改竄
情報の改竄は,既にあるデータや情報を特定の意図の元に作為的に作り替え,意図的にその情報を利用する行為である.これは,既存のデータや情報に対して行われるものであり,虚偽,うわさのような情報を発信する,情報の捏造とは区別される.
改竄される情報の中には,コンピュータ,ネットワークシステム上のものも含まれ,人権面や金銭面等で,問題が発生している.特にネットワークが頻繁に利用される社会では,データベースなどがその対象となりやすいため,十分に注意を払う必要がある.
- 情報の破壊
情報の破壊とは,「もの」としての情報,すなわちハードウェアやソフトウェアを作為的な意図の元,外的な力によって物理的に破壊する行為である.言い換えれば,情報を消滅させることであり,作為的に破壊を行うことである.
これには,データの隠蔽,抹消だけではなく,データを転送する物理的媒体を破壊することも含まれる.
これらの行為は,その情報の操作方法によっては世界的な混乱を引き起こす可能性も秘めている.まずは,一般の方々が情報操作をされていない
「情報操作についての正しい知識」を取得し,その視点を忘れずに世の中の事象を見つめる必要があるのではないかと思われる.
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