メディア論(担当:鈴木克明)99.8.2.
グループ作品「メディア論重要キーワード5解説」

キーワード:インターネット

 

定義:

 TCP/IPと呼ばれるパケット通信をベースとするネットワークプロトコルによって、世界中のコンピュータを相互接続したネットワークの総称。
 
 

解説:

 ローカルなLANを相互接続した形態をとっており、インターネットに参加する世界のユーザー同士が相互に通信できるようにしているため。インターネットはネットワークのネットワークと呼ばれる。
 
 従来インターネットといえば、電子メールとNetNewsがサービスの中心だったが、グラフィカルに情報を参照できるWWW(World Wide Web)によってインターネットユーザーは爆発的に増加し、現在ではWWWがインターネットの中心的なサービスの1つになっている。

 インターネットの起源は、'69年に米国国防総省(U.S. Department Of Defense:DOD)の高等研究計画局(Advanced Research Projects Agency:ARPA)が導入したARPAnetと呼ばれるネットワークである。このARPAnetでは、遠隔地にある複数のコンピュータが接続された。一説によれば、中央集中ではなくこのような分散型ネットワークを導入したのは、核攻撃対策を考慮したからだといわれている。

 これから10年後の'79年、ノースカロライナにある2つの大学が、ARPAnetをモデルに相互にネットワーク接続し、BBSサービスや電子メールサービスを開始。一方'86年には、同じくARPAnetをモデルとして全米科学財団(National Science Foundation:NSF)が、NSFnetと呼ばれるネットワークの運営を開始した。NSFnetは公共資金が投入されたプロジェクトで、研究を主目的として、大学などの研究機関を中心にネットワークを拡大した。

 このように初期のインターネットは、ネットワークを研究する目的で、大学などの研究機関を中心に発展してきた。現在のように、広く商用利用されるようになったのは、最近のことである。

 同様に日本でも、'84年に大学などの研究機関を中心にしてJUNET(Japan Unix NETwork)の運営が開始された。このJUNETでは、主にUUCP(Unix to Unix Copy Protocol)というデータ転送方式により、公衆回線を使ったニュースと電子メールのサービスが行なわれ、多くの大学や企業がこれに参加した。そして'88年には、専用線によるIP接続を行なう実験ネットワークとして、WIDE(Widely Integrated Distribution Network)が発足した。その後日本でも、インターネットの商用利用が本格化し、IIJやSPINなどに代表される商用プロバイダ(料金を徴収して、インターネットへの接続サービスを提供する企業)が現われ、NIFTY-ServeやPC-VANなどの商用BBSとインターネット間でのメール交換などが可能になった。

 国や公共機関の研究費を投入できたこと、さらにネットワークの管理・運営を、大学生などがボランティア活動として行なってくれたことは、インターネットの発展に大きく寄与した。しかしその一方では、現在のような商用利用を可能にするうえで、少なからぬ障害になったのも事実である。利益を追求する一般企業の情報交換を、研究費やボランティアベースのネットワークを経由して行なうことには問題がある。このようにネットワークの利用方法を一部制限する取り決めは、AUP(Acceptable Use Policy)として知られる。商用プロバイダが充実した現在のインターネットでは、こうした研究ネットワークを経由せずにほとんどの相互通信が可能だが、完全ではない。インターネットを営利目的で利用するときには、このAUPを意識する必要がある。
 
 

参考文献:

「ネットワーク概論」 村山 優子著 サイエンス社 1997
ASCII Glossary Help http://www.ascii.co.jp/ghelp



(担当:及川 聡)