品位法
定義:
1996年2月に成立した米国の新通信法のうち、インターネット上でのわいせつ画像等の流布を禁じる条項のこと。米連邦最高裁判所は1997年6月26日、「通信品位法」に対し、言論の自由を保障する憲法に反するとの判決を下した。
解説:
インターネット上では平気で銃・麻薬の売買、著作権を侵害するデータの配布、公的秩序に反する画像等の閲覧などが可能になっています。そしてこれらの存在をよく思わない人はたくさんいます。ですが、これらを法で規制しようとする動きはこれからのインターネットにとっても、我々の人権を脅かすものとしても非常に危険なことで、慎重に議論しなければならないものなのです。
この法律にはさまざまな不備がありました。たとえば何をもってわいせつとするかという、ボーダーラインが明確に示されていません。水着姿が青少年に見せるにはふさわしくないと感じる人もいるかもしれません。そんな感じでいろいろ突き詰めていけば、インターネット上のほぼすべての人間が写っている画像はわいせつなものになるというとらえかたも、まったくできなくはないですよね。また海外にある問題サイトの対応に関して不明瞭な状態なのもいただけません。
また、この法律が実効するならば、必然的に18歳未満の子どもはインターネットに接続することが許されなくなります。たとえ見る気がなくとも、です。誰にでも開かれているオープン性がウリのインターネットがこのような形で閉ざされていくことは果たして我々にとって有益なことなのでしょうか。
でも、なによりインターネットの性質をまったく無視したむちゃくちゃな規則が自分のサイトのリンク先まで責任を持たなければいけないということ。これほどばかげた話はありません。皆さんよくよく考えてください。自分のサイトはもちろん責任を持たなければいけないのは当然のことですが、リンク先がアダルトサイトに未来永劫ならないという保証はどこにもありません。また、リンク先のまたリンク先がアダルトサイトだったらどうします?そんなところまで責任をもてますか?
多分ピンとこない方が多いと思われるので、いい例をお見せしましょう。なんとこのようなばかげた話が日本にも条例としてすでに制定されているのです。参考文献の3、4のページに飛んでみてください。読んでいただければ分かると思うのですが、福岡のこの条例がまったく同じパターンです。ナンセンス以外の何者でもありません。といいますのは、実際福岡県のページからリンクをクリックするだけで数10回の行程を経てアダルトサイトに到着できることが確認できているのですよ。この県のページは紛れもなく条例違反、ということになりますね。
ここまで読んで「そんなの屁理屈だ!」と思う方、いらっしゃいますか?でも法律とはそういうものなのです。解釈を変えることでいくらでも変身するのです。少なくともこのような条令を作った方々はがこれらがどんなに意味がなく、ただただ社会を脅かしてるものだということがわかっていらっしゃらないようです。
参考文献:
- 最新情報通信用語:略語辞典
- yasushi's web page
- 「日本のLinux情報」内の「福岡県内からアクセスされる方へ」
- 「おごちゃん的視点のページ1997年7月分」の「福岡県青少年健全育成条例」
担当 森山
g031w162@edu.soft.iwate-pu.ac.jp