キーワード5:情報格差
定義:(1)一般的には「(情報を)持つ者と持たざる者の差」である。 これを別な言い方で表現すると『情報裕福層』と『情報貧困層(情報弱者)』の間に生じる情報量の差のことである。
(2)情報リテラシーの差異により生じる差とも言える。
解説:情報化社会と言われる世の中で、個人や集団の所有する情報量の差が社会的・経済的に大きな格差を生じることが懸念されている。 この問題は今から20年以上前より『情報格差(Information Gap)論』や『知識ギャップ(Knowledge Gap)仮説』と呼ばれ論じられていた。 その一つに「情報が社会システムの中に流通するほど、より高い社会的・経済的地位を持った人々は、より低い人々より早く情報を得やすく、その結果これらの人々との知識の格差は減少するよりは拡大する」<Tichenor ら1970:158−170> といったものがある。 さらに各国のコミュニケーション研究をまとめたマクウェールらによる情報格差論とは「社会システムにおいて情報の流れが増大すると教育水準が高い者、すなわち社会的・経済的地位の高い者が社会的地位が低く、教育水準の低い者に比べてよりよく情報を吸収できる。従って情報の増加は両者の知識ギャップを拡大する。」<McQuail & windahl 1981 : [100]>と説明している。
この他にも情報格差は階層・人権・性・年齢・地域間の格差、差別といった現代社会の持つ問題に深く関わっている。
さらに近年、インターネットを代表とするネットワーク社会では、大量の情報流通の中で必要な情報を的確に入手する意思と、それを選択・判断する能力(スキル)を持つか持たないかでも情報格差が生じるようになった。 こうした事を『情報リテラシー』と呼ぶ。 アメリカなどの情報先進国では『情報リテラシー』による個人差がでないように『コンピュータ・リテラシー教育』が積極的に推進されおり、いかに情報格差が大きな問題であるかがうかがえる。
コンピュータやネットワークの普及し始めた頃、高度情報化社会は情報格差の規模は縮小するように考えられていた。 しかし、結果は上記のような理由により拡大している。
よって今後ますます進歩する情報化社会ではこの情報格差を縮小することが課題となっている。
参考文献:守弘仁志・大野哲夫・城戸秀之・早川洋行・小谷 敏・荒井克弥・岩佐淳一 『情報化の中の<私>』 福村出版 (1996)
<参考URL>
http://www2.justnet.ne.jp/ipu/users/masatowatanabe/sotsu-pre.htm#30
(担当:長澤 郁子)