定義:
電話からコードがなくなり、野外でも自動車の中でも電話が掛けられる電話機のこと。
解説
まずは、日本での携帯電話の歴史から・・。
携帯電話は、当初自動車電話サービスとして、1979年12月に電電公社(当時)によって800MHzアナログ(NTT-Hicap方式)で開始された。サービス地域は、東京を中心とした首都圏から始まり、大阪・名古屋などの大都市へ広がり、1984年からは、全国サービスとなった。
1985年には、自動車電話を可搬化した「ショルダーホン」が登場したが、純粋な携帯電話機としては、1987年4月10日にサービスを開始した。
当時の端末の大きさは、体積500ml 重量750gであった。
(ちなみに現在の最計量端末は、59gである。)
また、電電公社(当時)以外の携帯電話事業者として、1988年に参入規制緩和により、IDO(日本移動通信)が800MHzアナログ(NTT-Hicap方式)で、1989年にはDDI-セルラーがIDOと共同で800MHzアナログ(TACS方式)で携帯電話事業に参入した。
1992年には、電電公社から民営化して生まれたNTTから移動通信部門(携帯電話・ポケットベル等)が分離し、1993年にはNTT移動通信網(NTT
DoCoMo)として営業を開始した。
(厳密には、9つの地域会社に分かれてます。)
このころから加入者の増加が目立つようになり、加入者増に対応するために1993年から800MHzデジタル(PDC方式)が各社で導入された。
(後で、また詳しく説明しますが、デジタル化によって、実は音質が低下しました。)
1994年には、規制緩和により、携帯電話の売り切り制が始まった。それまでは、携帯電話事業者からのレンタルのみだったが、売り切り制の導入によって、加入者を増加させるための携帯電話の激安戦争が引き起こされ、この年から急激に携帯電話の加入者が増加する結果となった。
同じ1994年には、規制緩和により、デジタルホングループとツーカーホングループが1.5GHzデジタル(PDC方式)で携帯電話事業に参入。これによって、関東・東海・関西では、4つの携帯電話事業者が争うことになった。競争が激しくなったことは、言うまでもない・・。
(ちなみに・・・J-phoneはブランド名であって、会社名はデジタルホンですので・・あまりに、J-phoneが定着したせいで、社名変更するらしいですけど・・)
関東・東海・関西以外の地域では、デジタルホングループとツーカーホングループが合同で出資したデジタルツーカーグループが1996年から1997年にかけて1.5GHzデジタル(PDC方式)で携帯電話事業に参入した。
(これでやっと、デジタルホン・ツーカーホンユーザーが全国で使えるようになった・・(^^;; )
そして、1998年には、DDI-セルラーが一部地域で800MHzデジタル(cdmaOne方式)を開始。1999年には、全地域のDDI-セルラーおよびIDOが800MHzデジタル(cdmaOne方式)を開始したことで、全国で使用できるようになった。
その一方、1999年には、NTT移動通信網とIDOは、800MHzアナログ(NTT-Hicap方式)のサービスを廃止した。
次に、携帯電話の通信方式を説明します。
○アナログ(NTT-Hicap方式・TACS方式)
音声信号をそのまま電波にのせる、非常に分かりやすい方式です。
2方式ありますが、どちらも原理は同じです。
私も明確な違いは、分かりませんでした。
多元接続の方法は、FDMA(Frequency Division Multiple Access・周波数分割多元接続)です。
FDMAというのは、ユーザーが使用する周波数帯を細かく区切ることで、多数のユーザーの使用を可能としています。
利点
静止時の音質は、デジタル方式よりも良い。
欠点
音声信号をそのまま電波にのせるため、盗聴されやすい。
端末の電池の持ちが、デジタルに比べ格段に悪い。
移動時の使用の際、雑音が入りやすい。
電波の利用効率が悪いため、加入者の増加に対応できない。
○デジタル(PDC方式)
音声を音声符号化によって、デジタル信号として電波にのせて通信を行う方式です。
多元接続の方法は、TDMA(Time Division Multiple Access・時分割多元接続)です。
TDMAというのは、FDMAで周波数を区切るだけでなく、区切った周波数をさらに細かい時間で区切り、さらに多数のユーザーの使用を可能とする方式です。
また、PDC方式では、「フルレート」「ハーフレート」という2つの方式があり、ハーフレートでは一人あたりのデータ通信量をフルレートの半分にするかわりに、同時に使用可能なユーザー数が倍に増やすことが出来ます。
現在の携帯電話端末は、cdmaOne以外はほとんどがPDC方式です。
よく、J-phoneがDoCoMoよりも音がよいと言われてますが、その理由はJ-phoneは原則フルレート接続なのに対し、DoCoMoは、原則ハーフレート接続であるからです。
ですが、J-phoneも加入者が増加したため、都心ではハーフレート化しつつあるそうです・・・。
利点
電池の持ちがアナログに比べ、格段に良くなった。
加入者の急激な増加に今のところ対応できること。
(将来的には、PDC方式でも周波数帯が足りなくなる恐れがありますが・・。)
デジタル化しているために、盗聴されにくい。
欠点
音質がかなり悪い。(ハーフレートに至っては、相手の声が判別できないレベルである。)
通信中以外の基地局からの電波や建物などの間接波が、妨害電波となって通話中途切れがちになったり、最悪の場合には通信断絶が起こる。
○デジタル(cdmaOne方式)
音声符号化は、EVRC("Enhanced Variable Rate CODEC")を採用しています。
これは、可変速符号化とノイズ・サプレッションによって、PDCと同じデータレートにもかかわらず、PDCより良い音質を実現している。
多元接続の方法は、その名の通りCDMA(Code Division Multiple Access・符号分割多元接続)です。
CDMAとは、「スペクトル拡散」という技術を用いてFDMAよりも多数のユーザーが使用できるようになっています。
スペクトル拡散については、かなり高度な技術なので説明は省略しますが、時間のある方は調べてみて下さい。ホントにすごい技術です。
(説明するのがかなり難しいものなので・・・。)
また、レイク受信・ソフトハンドオーバーなどの最新技術も導入されている。
利点
PDC方式に比べ、音質が良い。(ただし、固定電話・PHSほどではない。)
レイク受信・ソフトハンドオーバーにより、受信状態がPDCより良くなっている。
欠点
CDMA方式であるいがゆえ、電波状況が良くても着信できない場合が希に起こる。
(同期捕捉に失敗するとこうなる。)
端末が第2世代のため、PDCに比べ電池の持ちが悪い。(アナログほどではないが・・)
IDOだと通話代がかなり高い・・(苦笑)
次に、携帯電話今後のついてです。
今後、移動体通信は音声だけでなく、動画などの大容量の情報を扱うものと考えられています。
それに対応するために、ITUによってIMT-2000と呼ばれる次世代移動通信技術の標準化が進められています。
しかし、日・米・欧がそれぞれ独自の方式(W-CDMA・W-cdmaOne・TD-CDMA)を提案したため、現在では統一標準化するのではなく、異なる方式提案を併記の上、複数標準とする方針になった。
日本では、NTT移動通信網が開発したW-CDMAという方式が導入される見込みであるが、IDO・DDI-セルラーグループは、cdmaOneの拡張形であるcdma2000(W-cdmaOne)と呼ばれる方式を導入すると思われる。
W-CDMAでは、静止時に2MBbpsでの通信、移動時に384Kbpsでの通信が可能としている。
これによって、移動テレビ電話も可能になると思われるが、・・・・移動テレビ電話なんて私はいらない・・。
移動テレビ電話はともかく、移動しながらでも高速に情報をやりとりできるということで、あらゆる面での可能性があるといえる。
ほんとはもっと書きたいですけど・・・時間が・・・(^^;;
参考文献
杉沼浩司「移動体通信 -パーソナルモビリティが開く世界-」/日本経済新聞社/1996
電気通信事業者政策研究会 編 郵政省電気通信局電気通信事業部事業推進課 監修「携帯電話ハンドブック〜移動通信新時代〜」/クリエイト・クルーズ/1993
「むらちゃんの趣味のホームページ」
http://www.mobiletechno.net/ipu/users/muratyan/
「CDMA WoW!!」
http://pegasus.cs.shinshu-u.ac.jp/ipu/users/gfujip/cdma/
「DoCoMo Net」
http://www.nttdocomo.co.jp
「IDOホームページ」
http://www.ido.co.jp
「J-PHONE」
http://www.tdp.co.jp
「TU-KA Infoplanet」
http://www.tu-ka.co.jp
「デジタルツーカー東北」
http://www.dt-t.co.jp
担当:五十嵐 亮裕 |