グーテンベルク
定義
活版印刷の創始者。
ゲンスフライシュことヨハネス・グーテンベルクは、ドイツのマインツ市の由緒ある貴族の家に生まれたというが、その生年月日さえわかっていない。
ドイツの印刷界では、グーテンベルクの誕生日を6月24日に祝っている。
彼は1434年〜44年にストラ スブルクに移住、1448年以後は再びマインツに戻り、1468年に世を去った。
今日、グ ーテンベルクの人物像と事業活動の記録はきわめて少ない。
説明
ヨハネス・グーテンベルクは鉛合金の鋳造活字を用いた活版印刷術の創始者であ。
1437年前後から手写本(写本)に代わる書物製作の手段として、活版印刷法を 思いたち、鉛活字の鋳造に着手、また木製の印刷機を製作、1445年ごろ鋳造活字
による活版印刷術を一応完成した。
なかでも鉛活字の製作とプレス印刷機械の考案は、活版印刷術発明の重要なポイントである。
一本一本の活字を組み合わせ、1 ページの版面を構成する組版をし、プレス印刷機の圧力に耐え、さらに文字面の印 刷インキを均一に転移させる。書体の設計も、それまでの写字僧の手書きによる高
価な写本に近づけようと、大文字・小文字・各種記号のほか2個の文字を連ねた連字・複合文字の製作も行った。
また、プレス印刷機の製作は、当時の葡萄絞り機のヒントがあったにせよ、ハンド ルの半回転をネジの上下運動に連動させ、印刷版面に必要なだけ圧力を均等に与 え、上からの圧盤を下降させて印刷するもので、イギリスのスタンホープなどの全金
属製印刷機が出現するまで350年間も西欧各地で使用された。
グーテンベルクの活版印刷術のすぐれているのは次の4点である。
@ 鉛と亜鉛を主材とする活字合金によって活字を鋳造しやすくした。
A 黄銅の鋳造と母型を製作して多量の活字を正確に作るようにした。
B 両面印刷のできる印刷機を製作した。
C 金属活字に適する油性ワニスで練った印刷インキを使用した。
これにより、1452年から1455年にかけて印刷されたとみられる「42行聖書」は、ゴシック書写体の極致をみせ、現存するグーテンベルクの作品としては唯一のもので、
世界五大美装本の1つともいわれ、今日なお印刷技術の最高傑作であるとされてい る。
グ ーテンベルクによる活版印刷術の発明は、現代のコンピュータによる情報革命にも匹敵する価値があったと思われる。
参考文献
印刷辞典
担当者:大寺 亮