キーワード3:DYNABOOK (だいなぶっく)
定義:
(1)1970年代にアラン・ケイによって構想されたコンピュータの理想形で、鉛筆や紙や本を使うのと同じように使えるコンピュータを目指した。現在のパーソナルコンピュータの在り方を決定づけた。(2)1989年に日本のあるメーカーが発売したノートブック型パーソナルコンピュータの名称
解説:
(1)
ダイナブックは具体的には片手で持て、グラフィカルユーザーインタフェースを備え、ネットワーク機能があり、500ドル以下で、子供でも扱えるなどの条件があげられている。さらに詳しく述べると、タブレット・ポインティングデバイス、アイコン、マルチウィンドウ、オブジェクト指向デザインなどの当時の最新機能を盛り込んだ画期的なものだった。
1973年、ゼロックス社のPARC(パロアルト研究所)において「暫定版ダイナブック」としてに実現された「Alto」は、「WYSWYG」が目指され、アイコンやマウス、ウィンドウなど今や当たり前のインタフェースが採用されていた。また、このAlto開発の一環として、LANを中心に今日でも標準的に用いられている「Ethernet」や、「オブジェクト指向プログラミング言語」を代表する「SmallTalk」が開発された。
当時のゼロックス社はこうしたアイデアを理解できなかったため、アラン・ケイはこの構想の実現を中止せざるを得なかった。しかし、ダイナブックのアイデアにアップルの創業者スティーブ・ジョブスが強い衝撃を受け、これをきっかけにやがて「Macintosh」が開発された。この「Macintosh」で採用されたグラフィカルユーザーインターフェイスはマイクロソフトのウィンドウズに採り込まれていった。
(2)
1989年6月26日、東芝から世界初のノートパソコン「DynaBook」が誕生した。それ以降、ノートパソコン分野での草分的存在となってきた。しかし、上記のアラン・ケイの提唱したダイナブックとは大きくかけ離れていた。
参考文献:
『アラン・ケイ』,Alan Curtis Kay,鶴岡雄二訳,アスキー,1992.3
BUSINESS COMPUTER NEWS: http://www.bcn.co.jp/weekly/mo2/19970317_mo2.htm
(コンピュータ産業発展史)1997.3.17
東芝、DynaBook 誕生十周年とその歩み: http://www2.toshiba.co.jp/pc/pr/10th/index_j.htm
1999.8.12
(担当:中村 将規)
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 船生研究室
中村将規(情報システムコース 学部二年)
E-mail : masaki@infosys.soft.iwate-pu.ac.jp