キーワード1:通信品位法(つうしんひんいほう)


定義:

1996年2月に成立した米国の新通信法に含まれる、インターネット上でのわいせつ文書や画像などを規制する条項(Communications Decency Act:CDA、通称「通信品位法」)。


解説:

通信品位法は定義にある通り、1996年2月に成立した米国の新通信法に含まれる、インターネット上でのわいせつ文書などを規制する条項である。信品位法のねらいは、インターネット上に流れる子供にとって害のあるポルノ情報から子供を守ろうということにあり、その罰則は最大20万ドルの罰金と2年の禁固刑を科すとした。しかし、この通信品位法では性的な行動に対してのみ適用されるもののはずが、排泄行為や、内臓といった性的な存在や、排泄という自然なものの規制に拡大され、その適用範囲も「明らかに不愉快(patently offensive)」という不明確な基準であったため、このCDAに対して、市民団体や商業オンライン業者などが原告となり、「表現の自由を保障した憲法に違反する」として、米司法省を相手に訴訟を起こした。1996年6月12日に米フィラデルフィア集の連邦地方裁判所が違憲判決を下したため、司法省がこれを不服として最高裁に上告していたが、米連邦最高裁判所は1997年6月26日、CDAに対し言論の自由を保障する憲法に反するとの判決を下した。

一方ではブラウザ側にポルノの程度を示す機能を設けるなどの対策もでてきており、表現の自由を守りながら、規制ではなく技術によってポルノから子供を遠ざける方法が具体化してきている。


参考文献:

インターネット・ロイヤー法律相談室: http://www.asahi-net.or.jp/ipu/users/VR5J-MKN/cdaj001.htm
(米国通信品位法違憲訴訟判決文和訳)1999.7.29

INTERNET Watch WWW版 1997/6/27: http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/search/article/9706/2701.htm
(わいせつ画像等の流布などを禁ずる「通信品位法」に米最高裁が違憲判決)1997.6.27

INTERNET Watch WWW版 1997/3/26: http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/search/article/9703/2605.htm
(注目を集める米国通信法「Communication Decency Act(CDA)」)1997.3.26

日本電子工業振興協会 コンピュータ用語解説: http://www.jeida.or.jp/document/geppou/yogo/index.html
(1996年電気通信法)1996.8.16


(担当:中村 将規)
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 船生研究室
中村将規(情報システムコース 学部二年)
E-mail : masaki@infosys.soft.iwate-pu.ac.jp