キーワード:PHS (ぴーえいちえす)
定義:PHSとはPersonal Handyphone Systemの略である。簡易型携帯電話とも言う。元々の名称はPersonal
Handy Phone(PHP)だったのだが、PHP研究所から「似ていて紛らわしい」とクレームが来て、現 在のPHSに変えたという経歴を持つ。日本で発案・開発された、デジタルコードレスホンシステムの一
つである。残念ながら現在のところPHSは「携帯電話の安物」としか思われていないようだが、携帯電 話とは全く別のシステムである。
解説: PHSには3つの顔がある。 ・デジタルコードレスホン PHSはもともとデジタル式のコードレス電話の子機として開発された。
従来のコードレスホンはアナログだったため、盗聴され放題で、通話もあまりクリアとは言えなかった。 その問題を解決するために、デジタル式のコードレス電話の子機が開発されたが、どうせならこの子機を
野外に持ち出して使えたらいいのではないか、と言う発想である。
これが次の「パーソナルハンディーホ ン」という考えを生み出した。 ・パーソナルハンディーホン
PHSの一面は、1.9GHzデジタル電話である。 普通の携帯電話に比べ、ユーザサイドの初期コストとランニングコスト(加入料・通話料)が安い。携
帯電話に比べ、基地局を作るコストが安いため、地下鉄や地下道、ビルの中へのエリア拡大が早い。 ただし送受信する電波の出力が小さいため狭い範囲までしか届かない。また波長が短いため回折が起こ
りにくく障害物に弱い。そのためアンテナがあちこちに必要である。従って、アンテナを設置する場所が 少ない、市街地以外への通話エリアの拡大には手間と金がかかる。さらに、自動車・電車などで高速移動
中は使えない。歩く程度の速度なら大丈夫である(しかし、最近では高速移動中も使える端末が出てきて いる。私自身も新幹線や高速バスなどで実験してみたが、完全な圏外地点以外では実用レベルにはあ
る。)。
このように、ポータビリティでは携帯電話と固定電話の間だといえる。 ちなみにPHS会社と呼ばれる会社は、この「パーソナルハンディーホン」のサービス
をする会社である。他の2つのサービス(デジタルコードレスホン・トランシーバ)は、 PHS会社と契約しなくても利用できる。 ・トランシーバ
子機間通話の考えがさらに発展して、PHSはトランシーバーとしても使えるようにな っている。トランシーバとして利用するには、同一の親機に登録している必要がある。
PHS(デジタルコードレスホン)を携帯電話として使うには、アンテナがあちこちに必要なのだが、 日本にはそのアンテナを設置する場所(ビル、電柱、公衆電話)がたくさんある。途上国・アメリカに
は、そういったものがあまりない。いまいち携帯電話ほど普及しなかったデジタルコードレスホンが、い ち早く日本で実用化され、ある程度の売り上げを上げられたのは、そのためである。
なお、PHSのサービス開始当初のなごりで「PHSは使えない」と言う声が主に、携帯ユーザーに多い
のだが、携帯とPHSを比べてどこが使えないのかをはっきりと答えられるものはほとんどいない、とい うより皆無に近い状況がある。おもしろいものである。
よくある答えは「エリアの広さ&どこでもつながる(海&山でも)」、「まわりがみんな携帯だから」と いう答えである。「エリアの広さ」については今出ている携帯の各キャリアとPHSの各キャリアのサー
ビスエリアを見比べて欲しい。たしかに携帯電話のサービスエリアは広いが、PHSのサービスエリアは 順次拡大中である。人口の90%以上の居住地域はほぼ網羅してある。「まわりがみんな携帯だから」と
いう答えは一番やっかいである。通話料が高い。維持費も高い。通話品質は低い。(すべてPHSとの比 較)という携帯をみんな持つのはこの理由がトップであろう。そんな人たちに私は言いたい。「みんなで
PHS持てば?」と。近距離での友だちと話すのがメインであるならPHSの優位は携帯に取って代わら れるものではない。遠距離との友だちとの通話は自宅に電話回線を引いて、腰を据えて話をしていただき
たいものである。
参考文献: DDIポケット公式ページ
URL:http://www.ddipocket.co.jp/
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