キーワード3: プライバシー
定義:
個人の情報へ他人が接近することの制限
解説:
もし、ある人(x)が他人から全く接近されない場合にその人は完全な プライバ
シーを享受している、と仮定すると、完全なプライバシーのおいては、
(1)誰もXに関する情報を何一つ持たない(秘密性(secrecy))
(2)誰もXに何の注意も払わない(匿名性(anonymity))
(3)誰もXに身体的に接近しない(独居性(solitude))
の3つがある。当然、完全なプライバシーというものは現実的にはあり得ないし、
また全面的な喪失もあり得ない。プライバシーの喪失においては、
(1)誰かがXに関する情報を持つ
(2)誰かがXに何らかの注意を払う
(3)誰かがXに身体的に接近する
これら3つの要素は別のものでありながら連関し合っている。
個人は注目されると常にプライバシーを喪失する。更に注意を向けられるだけ
でプライバシーの喪失を招くこともある。有名人が街を歩いていて声をかけら
れることも1つの例だろう。しかし、完全なるプライバシーとその全面的な喪
失はともに望ましくない。何故なら完全なプライバシーを享受すると、個人の
存在そのものが消え失せてしまうだろうし、逆に喪失してしまうと1日の行動
全て干渉されている気分になり、具合いが悪くなってしまいそうだと思った
らである。我々は、プライバシーと相互交流の間でバランスをとって生きてい
る。従って、プライバシーは沢山持てば持つほど良くなる価値ではない。我々
は個人の持つべき自由の範囲を判断し、自分たちの利他性や合理性の限界を理
解した上で、プライバシーの存在を認めているのである。
参考文献:
http://www.ethics.bun.kyoto-u.ac.jp/ipu/users/okuda/ethics/privacy.html