キーワード:産業革命(さんぎょうかくめい)   担当:0311998071 小山勇次


定義

産業の技術的基礎が一変し、小さな手工業的な作業場に代って機械設備による大工場が成立し、これとともに社会構造が根本的に変化すること。 産業革命を経て初めて近代資本主義経済が確立。 1760年代のイギリスに始まり、1830年代以降、欧州諸国に波及。
 

解説

産業革命は綿工業から起ってくる。どうして産業革命がヨーロッパの伝統的産業である毛織物工業からではなく、ヨーロッパに全くなじみのなかった綿工業から起ってくるのか。 その歴史的背景として、17世紀後半におけるイギリスのアジアとの接触、それがもたらした生活革命に注目する必要がある。
当時のアジアは豊かで、優れた文化が栄えていた。茶・陶磁器・絹・綿布などはヨーロッパ人のあこがれの的となったが、なかでもイギリス東インド会社がもたらした美しく染色した インド・キャラコは、イギリス人をはじめヨーロッパ人の間に新奇なファッションとして人気を集め一種の衣料革命を引き起こした。 綿布はドレスの他、ベッドのシーツ、カーテンにも利用できるため、綿製品に対する需要が庶民の間に急速に広がった。 その需要にこたえて、インド綿布に太刀打ちできる綿製品の製造が、18世紀初めのイギリスの国民的課題となった。

こうして産業革命は綿工業から始まった。各種紡績機が発明されて機械制工場生産が確立し、それは鉄工業、石炭業、機械工業の発展を促した。 やがて鉄道が出現して速度と能率を高め、市場が一挙に広がって産業革命の完成を見る。

産業革命は多数の労働者を生んだ。彼らの生活環境は劣悪で、 1日14、5時間労働をし、6畳のほどの部屋が2つしかないバラックで数人の労働者が生活をしていた。 水は「水はビールのように貴重なもの」といわれる程手に入れづらい物で、洗濯や入浴に使う余裕はほとんどなかった。 このような生活環境は極めて不衛生なもので、しばしば伝染病の温床となった。 この環境のなかで労働者は「彼らの人間性の最良の部分を犠牲」にされ、若くして死ぬ者も多かった。 一方産業ブルジョアジーの勃興と社会矛盾の発生は政治・労働運動となってイギリス社会を揺さぶった。
 

参考文献

大塚 信一(1998) 「広辞苑 第四版」 岩波書店
秋庭 隆(1995) 「日本大百科全集 23」 小学館