携帯電話の技術:
携帯電話は前述の通り、無線を使った高速移動中も通話可能な通信サービスである。
日本では1979年に自動車電話が始まり、1987年に携帯電話と呼ばれる小型端末が登場した。
現行の携帯電話はセルラー方式という無線技術をもちいている。
携帯電話に類似のサービスとしてはPHS(Personal Hady-phone System:簡易型携帯電話)がある。
これは携帯電話より弱い電波の基地局(電波到達距離が100-500m)を多数配置したシステムで、高速移動中や基地局から離れた所での通話はできないが、伝送速度が32kbpsと速いので、
モバイル・コンピューティング(携帯パソコンや携帯情報端末を電話と接続し外出先で情報交換すること)や無線LAN(有線ケーブル以外の伝送路を使った構内情報通信網)には適している。
注目される新技術としてはCDMA(符号分割多元接続)技術を使った次世代携帯電話と衛星電話がある。
既存のデジタル携帯電話には日本のPDCやGSM(汎欧州デジタル移動電話)などの方式があるが、CDMA方式では音質や安定度が高く、伝送速度も64kbps-2MbpsとISDNなみに速い。
日本では98年にサービスが開始された。
静止衛星を使った衛星電話はすでにあるが、98年以降イリジウムやグローバルスター等のシステムが開始される。
これらは低軌道の周回衛星を使うことで、端末の小型化、タイムラグのない自然な通話、世界的サービス等を可能にしている。
携帯電話の文化:
携帯電話は95年頃までは建築業やよく車で移動する人の業務利用が主だったが、大衆化以降、私的連絡に使われることが多くなった。
携帯電話は、いつでもどこでも連絡がとれることにより、利用者に便利さと安心感をもたらした。
移動中の集合も容易になり、都市空間内をますます自由に移動できるようになった。
他方、携帯電話所持が仕事のストレスを常態化させ、体の不調をひきおこす「携帯電話心身症」も問題になった。
不具合を避けるために利用マナーが生まれ、飛行機、病院、列車内での使用が禁止され、また、事故発生の原因となりうるので自動車の運転中での使用も禁止される。
公的場所での周囲の不快感は、携帯電話の機能不全から発話音が自然に大きくなる現象や、他所との会話がその場の状況の定義を変化させ、
「無視された」とか「場違いな所に居る」などの感覚を生むことが原因である。
PHSは外出時に使えるコードレス電話として開発されたが、実際は安価な携帯電話として受容され、最近は十代の若者が長電話するための道具として特化しつつある。
携帯電話の文化は利用の様態によって全く異なってくる点が特に重要である。