All learning is self-directed  第2章 「よい学習環境をつくる」

担当 西渕 あきこ

課題

「よい学習環境の指標リスト」を元に以下のことを検討しなさい。

1.        表から、あなたの機関に存在しない「よい学習環境の指標」を5つ挙げなさい。

2.        表にあるもの以外で「よい学習環境の指標」を5つ考えなさい。

3.        1、2の合計10の中で最も重要だと思うものを3つ選びなさい。どうやってこの3つを実現させることができるか考えなさい。


1.        よい学習環境の定義

全ての社員が、ビジネス目標達成のために、常に学習の態勢にあること。」

     全ての社員…社長から平社員まで全員

     ビジネス目標達成のため…全ての学習活動が直接的に個人、グループ、全社の目標達成に結びついている。

     常に学習の態勢にある…常に新しいアイデアを探し、新しい方法を試し、他の人々とアイデアを共有し共に学んでいる。

2.        よい学習環境の指標 (次ページの表参照)

     PlanSoft社(会議・イベント用ソリューション提案会社)のMike Kunkleが作成した15の指標に、著者が15項目付け足したもの。

     網羅的なものではない。

3.        よい学習環境と独立自己管理学習(ISDL)との関係

     ISDLを成功させるには、よい学習環境の確立と維持が必要である。

     よい学習環境があれば社員は常に学習の機会を探す。またよい学習環境があるので常に学習の機会を見つけることができる。

次章予告

よい学習環境を確立するための社員、管理職、トップのそれぞれの役割について

表2−1 「よい学習環境の指標リスト」

−職場がよい学習環境をもっているかどうか見極めるための30の指標―

1.        アイデアに対し公式、非公式な反応がある。

2.        提言が歓迎される。

3.        失敗が教育とみなされる。

4.        会社が業務関連の購読費、参加費等を払う。

5.        検閲、派閥などがない。

6.        社員が経営部のアイデアに反対できる。

7.        フォーカスグループのような集まりが奨励される。

8.        ブレインストーミングが一般的である。

9.        OJTが使われている。

10.    適切な場面で研修が奨励される。

11.    上司も部下が学習していることを学習する。

12.    コーチングが一般的である。

13.    学習はイベントではなくプロセスである。

14.    360度の調査が行なわれる。

15.    能力の評価が恐れられず、社員の学習や成長に関連付けられる。

16.    部局をこえたチームワークが一般的である。

17.    タスクフォースが様々な地位、場所、部局の社員からなる。

18.    全ての社員が会社の概要をプレゼンテーションできる。

19.    社員が仕事を拡大し、顧客や取引業者の業務について学ぶことが奨励される。

20.    キャリアパスが部局、事業単位、地理の枠を越えて開かれている。

21.    社員がお互いに話し合い問題を解決することが奨励されている。

22.    全ての部局、レベルで会社が学習ガイドを発行している。

23.    会社が図書館やインターネット設備を備えている。

24.    job shadowingが奨励される。

25.    飲食持ち込み可のセミナーが定期的に開催される。

26.    重役が社員と話すために時間を割く。

27.    全てのレベルでメンターのプログラムがある。

28.    自分の専門に関して社外で活動することが奨励され報酬がでる。

29.    社員が常によりよい実践を求めている。

30.    社員がミーティングを楽しみにしている。

表2−1の用語解説

・ブレインストーミング
新しいアイデアを創出するための技法
(4つのルール)
1. 出された意見を批判しない
2. 自由奔放な意見を歓迎
3. 意見の質を問わずに量を求める
4. 他人の意見にヒントを得て、便乗することを歓迎
(桐村晋次(1985)「人材育成の進め方」日系文庫)

・タスクフォース(→プロジェクトチーム
 新規事業の立ち上げや工場の建設などといった、特定の課題を達成するために、一時的に設置される組織のこと。通常、社内の各部署から必要な人材が抜擢され、横断的に編成される。プロジェクトが終了すれば、その時点で解散となる。プロジェクトチームもほぼ同義に用いられるが、どちらかというとプロジェクトチームの方が、長期間に渡る大きな課題を扱う場合が多い。
(ナビゲートビジネス基本用語集より http://www.navigate-inc.co.jp/term/index.html ナビゲート有限会社)

job shadowing
誰か他の社員の後についてまわり、その社員の業務を共体験すること。
(本文中の例より)

・メンター
少なくとも2階級以上の上司で、一緒に昼食をとったりしながら、キャリアパスなどを含んだ総合的な相談役となる人。
(本文中の例より)

・360度の調査
一人の社員に対して、同僚、上司、部下等周囲の人全員が評価を行なうこと

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