第1章 ID理論とは何で、どう変化しているのか?
出典:Reigeluth, C. M. (1999). What Is Instructional-Design Theory and How Is It Changing? (Chapter 1). In C.M. Reigeluth (Ed.). Instructional-Design Theories and Models Vol.II: A New Paradigm of Instructional Theory. LEA.
担当者:鈴木克明(岩手県立大学教授)ksuzuki@soft.iwate-pu.ac.jp
第1章の概要
ID理論とは何か
ID理論でないものは何か
新世代のID理論に求められているもの
関連サイト・文献
コメント・疑問点
■ID理論とは何で、どう変化しているのか?
この章は、本書(GREEN BOOK II)が前書(BREEN BOOK I)とどこが違うか、ID理論はどのように変化をしてきているのかについてまとめた導入の章である。輪読をスタートするに当たって、部分的に紹介したことのみをまとめておく。(鈴木)
■人の学びと発達をより良く助ける方法を明示的に提供する理論(Reigeluth,1999,p.5)
■デザイン志向(記述志向でなく)
妥当性validityでなく相対的な有効性preferabilityを重視
処方的vs記述的(鈴木、1987)
■教授方法とそれを用いる状況を明示
教授方法は統一的な効果をもつというよりは状況に依存する。
状況=課題、学習者特性、環境、開発条件。
■より細かい方法に分解して提供componential
方法の組み合わせ方が何通りもある
■決定論的でなく確率論的probabilistic
結果を保証することはできないが、より確率を高めていくことを目指すもの
図表2−9:IDモデルでないもの(ライゲルースによる)
学習理論 |
学習理論が基礎で、IDモデルはその上に立つ家(家と家の基礎の関係)。学習理論は記述的、IDは処方的。
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教授システム開発モデル (IDプロセスモデル) |
プロセスモデルは作り方を示すが、IDモデルは作られるものの青写真を描く。
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カリキュラム理論 |
教育内容(何を教えるべきか)の理論と教育方法(それをどう教えるべきか)の理論。強調点の違いであって明確にIDモデルと区別できないことが多い。
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〔出典:鈴木克明(編著)(2004)『詳説インストラクショナルデザイン:eラーニングファンダメンタル』 NPO法人日本イーラーニングコンソーシアム(パッケージ版テキスト), p.2_13〕
■社会変化への対応(工業→情報)
■序列化教育のデザインでなく学習支援
■暗記促進でなくイニシアチブ、論理性、問題解決力を育てる理論
■高度な認知的学習+情緒・人格・精神発達
■関係者stakeholdersがビジョンを確認・共有する手段としてのプロトタイプ的シナリオ
■標準化志向でなくカスタマイズ志向
■完成品の提供でなく学習中の学習者によるデザインを可能にするオプション提供メカニズム
未整備(事例そのものがない)
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by Katsuaki Suzuki, Ph.D.,
Graduate School of Software and Information Science, Iwate Prefectural
University.
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